はまきり





芦屋先輩が右手をそっと開くと、そこにあるはずの玉はなく、変わりに五センチ程の長さの小さな筆があった。


芦屋先輩が筆で何かを空に描く。








「生き残ること。」








突如、教室に一体の獣が現れた。


赤い顔、虎の模様の胴、そして尻尾は蛇になっている。


なんなんだ、これは…何かの手品か、それともドッキリなのか。







「それがこのテストの合格条件だよ!みんながんばって!!」


芦屋先輩はそれだけ言うとひらひらと手を振りながら教室を出て行った。







教室に残された謎の生物と10人の生徒。


「妖怪…」


謎の生物を睨みつけながら、隣にいた中原さんがつぶやく。


「妖怪?」


「あれは鵺ね。ずいぶん気が立ってるみたい。すごい殺気だわ。」


「ぬえ?」







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