はまきり
中原さんが金髪に向かって手を伸ばす。
「え…?」
振り下ろされた金髪の拳…それはもうなかった。
拳だけじゃなく、腕ごと。
彼の右腕は肘より先がなく、血がダラダラと流れ、彼の足元に水たまりを作っていた。
「う、うわぁあああ!!!」
その場に崩れる金髪。
何が起こった…?
なんだ今の…
座り込む金髪にじりじりと近づく鵺。
その化け物は金髪の顔を見つめると、静かに口を開いた。
一瞬だった。
一瞬にして金髪の喉元から血が噴き出す。
誰も、何も言えずに立ち尽くしていた。
金髪の喉元に食らいついたまま、鵺はゆっくりと振り返る。
「やだ…こっちに来る!」
三つ編みの女子生徒は唇を震わせながら、隣にいる派手な女子生徒の後ろに隠れる。
「大丈夫!私がついてるから。」
派手な女子生徒は三つ編みの女子生徒の方へ振り返り、そう励ました。