はまきり
どうやらこの2人は友達同士のようだ。
お互いのことを下の名前で呼び合っている。
「あの男、ずっと人間として暮らしてきたのね。馬鹿みたいに幸せな男ね。」
低く唸りながら教室内の生徒を見渡す鵺を睨みつけながら、中原さんは吐き捨てるように言った。
「もしかして、他にもあの馬鹿みたいな人がいるのかしら。」
すると、今まで黙って楽しそうにこの惨事を見ていた神木が口を開いた。
「たぶんだけど、俺たち以外はみんな今の状況分かってないんじゃない?」
「あんた…神木だっけ?…そうね、あなたは微かだけど特徴が表に出てしまっているものね。」
「君ほどじゃないけどね。」
神木の言葉に眉をひそめながら、中原さんは教室内の全員に向かって声を張り上げた。
「よく聞いて!ここに集められた私たちはみんな、半分だけ妖怪の血が流れてるの!」
みんな、不安そうな顔で中原さんを見ていた。
「この目の前にいる鵺は本物の妖怪。戦えなければ死ぬわ。だから戦える人だけでいい、私と一緒に前に出て!」