はまきり
「馬鹿ね、わかんないの?どう見てもあの子死んでるでしょ!」
中原さんの鋭い声に、派手な女子生徒は言葉を失った。
「分かってるよぉ…」
すすり泣く派手な女子生徒の背をそっと撫でると、中原さんは今にも襲いかかって来そうな様子の鵺と対峙する。
「あの妖怪ほんとしつっこいわね。」
中原さんの言葉に、神木がへらへらとしながら答える。
「まるで全然ダメージ食らってないねー。」
彼はこの状況を楽しんでいるようだった。
「仕方ないわね、もう一回やるわ。」
中原さんは飛び出し、地面を強く蹴ると、鵺の額に拳を叩きつける。
地面にのめり込む鵺。
「これでもう大丈夫でしょ。」
中原さんの言葉からはさっきまでの余裕があまり見られなかった。
中原さんは一息つくと、スカートの埃を払う。
その時だった…何かが動き出したのを俺は見てしまった。