はまきり
手の中で何かが光った。
指の間から光が漏れている。
これは、芦屋先輩が配っていた玉?
そういえばこれ何に使うんだ?
今はそんなこと考えてる場合じゃない。
俺はすぐに振り返る。
鵺の生暖かい息が顔に吹きかかる。
もう鵺はすぐ目の前にいた。
口が開き、鋭い歯が見える。
終わった…こんな状態からじゃ何をしても…
俺は目を強く閉じた。
その時だった。
轟音がして、そのあとまた何かが地面に叩きつけられる大きな音がした。
突然の音に、俺はゆっくり目を開ける。
そこに鵺の姿はなかった。
俺から数メートル先に、血を流した鵺が横たわっていた。
「え…?」
なんだよこれ。
何が起こって…
俺の手には碧色の綺麗な扇が開いた状態で収まっていた。
あの玉を握っていた方の手だ。