はまきり





手の中で何かが光った。


指の間から光が漏れている。






これは、芦屋先輩が配っていた玉?


そういえばこれ何に使うんだ?







今はそんなこと考えてる場合じゃない。


俺はすぐに振り返る。






鵺の生暖かい息が顔に吹きかかる。


もう鵺はすぐ目の前にいた。


口が開き、鋭い歯が見える。


終わった…こんな状態からじゃ何をしても…


俺は目を強く閉じた。







その時だった。


轟音がして、そのあとまた何かが地面に叩きつけられる大きな音がした。


突然の音に、俺はゆっくり目を開ける。


そこに鵺の姿はなかった。


俺から数メートル先に、血を流した鵺が横たわっていた。


「え…?」


なんだよこれ。


何が起こって…






俺の手には碧色の綺麗な扇が開いた状態で収まっていた。


あの玉を握っていた方の手だ。





< 35 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop