はまきり
鮮やかな赤い液体が教室に飛び、俺と神木と中原さん以外の生徒は教室の床に転がった。
「中谷…さん…?」
「この後は入寮式ですので、みなさん紙に書いてある場所まで移動お願いします。」
中谷さんは頭をさげると、芦屋先輩と共に教室を出て行った。
「…私たちも行きましょ。」
中原さんも教室を出て行く。
「うん…」
俺の目に、中谷さんの人を撃ち殺す姿がはっきりと焼き付いて、離れない。
「野添…だっけ?」
廊下で、中原さんは振り向かずに前を見たまま俺に話しかけた。
「うん。」
「ありがとう。あなたのおかげで助かったわ。」
「そんな、俺こそ…中原さんがいなかったら今ごろ…」
中原さんは振り向くと、少し怒ったような顔で上目遣いに俺を見た。
「…亜希でいいわよ。」