はまきり




「ずるーい!俺も亜希ちゃんのこと助けたのにー!!」


「神木…だっけ?あんたはうるっさいのよ。」


「俺も亜希ちゃんのこと、亜希ちゃんって呼んでいい?」


「…もう呼んでるじゃない。」






その後、俺と神木は男子寮の入寮式のため、亜希と別れて大講堂に向かった。


「亜希ちゃん可愛いなぁー!彼氏いるのかな?どう思う、野添ちゃん?」


「あぁ…」


「野添ちゃーん?」


「え?あ、ごめん…何?」


頭から離れない。


中谷さんの何の躊躇いもない表情、引き金を引く白く細い指、反動で動く腕、髪…


何もかも…


「野添ちゃん、この世界ではあんなの普通だよ。」


「え?」


「さっきの、だろ?野添ちゃんは今まで普通の人間として生きてきたから分からないかもしれないけど、妖怪の世界じゃあんなの当たり前なんだよ。弱い者は死ぬ世界なんだから。」







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