はまきり




ドアを開けた俺の目に飛び込んで来たのは、真っ白な背中。


黒いセミロングの髪は少し濡れていて、下は紺色のジャージを履いていた。


その人物は、顔だけこちらに向ける。


長い睫毛に薄い桃色の唇、頬は少し赤い。






女だった。


そんな、ここは男子寮のはずだ。


女は濡れた髪をタオルで乾かしながらこちらへ体を向ける。


まずいぞ、今体をこちらに向けたら…


「野添くんですか?僕、ルームメイトの雪野康太です。」


「…え?」


…ない。


胸がない…。






「…男?」




< 45 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop