はまきり
ユキは部屋に備え付けの机から紙を出すと、ボールペンでさらさらと何かを書き込んだ。
「この学校は簡単に言えば保護施設なんです。この世界は妖怪たちの住む世界と人間たちの住む世界がありますが…」
ユキは紙に一つ円を描き、それに半分被るように同じ大きさの円を描いた。
そして被っている部分に斜線を入れる。
「浜霧高校はここ、この斜線の部分にあたる存在です。妖怪の世界と人間の世界の狭間にあるんです。僕たちは半分が人間であり、半分が妖怪であり、それは妖怪でも人間でもないという意味でもあります。」
「妖怪でも…人間でもない?…」
「僕たちはどっちの世界でも生きられないんです。」
どっちの世界でも生きられない…
「野添くんは今まで人間として暮らしてきたんですよね。それは、君は見た目が人間に近いから。でも、人間と妖怪のハーフなんだから、君と違って妖怪寄りの見た目に生まれてきてしまう者もいる。」
亜希のことを思い出した。
頭に角の生えた少女…