はまきり
「そんな人がいたら、当然人間としては生きてはいけない。でも、人間の血の混じった者は妖怪の世界でも避けられます。だからどちらの世界でも生きていけなくなるんです。」
「でもそれは見た目に出たらの話だろ。ユキはなんの特徴も出てないじゃないか。それなのに内部進学ってことは…」
ユキは立ち上がると、キッチンの棚からマグカップを出し、ポットからお湯を注いだ。
湯気がたつ。
「これ、触ってみてください。」
ユキに言われ、マグカップに触れる。
「どうですか?」
「どうって…普通にお湯だけど。」
「少し貸してください。」
ユキがマグカップに触れると、中のお湯から割れるような音がして、中のお湯は氷になった。
「え、え…?」
「この学校に通いだしてからは徐々に力を制御できるようになりましたが、以前は触るもの全てを凍らせてしまいました。感情が少しでも高ぶれば、辺り一面氷漬けです。」
ユキは少しだけ悲しそうな表情をしたあと、すぐに笑顔に戻った。
「僕、雪女の子供なんです。僕みたいに見た目は人間に近くても、人間と一緒に暮らせない者もいるんですよ。」