はまきり
マグカップの氷はパキパキと音を立て、少しずつ室温で溶けていた。
「僕は、この学校を卒業して、この力を完璧に制御できるようになるんです。そしたら、また人間の世界で暮らせるかなって」
そう話す彼の横顔はやはり悲しそうで、きっと俺には分からないような苦労がたくさんあったのだろう。
「要するに、この学校は保護施設兼、養成学校なんですよ。…なにか質問とかありますか?」
「いや、ありがとう。」
「それじゃあ…」
ユキは立ち上がる。
「僕は友達と約束あるんで部屋を出ます。今日はこれから消灯まで自由行動ですよね?野添くんも部屋を出て探検してくるといいですよ。」
「あぁ、ありがとう。」
「ではまたあとで。」
バタンと扉が閉まり、ユキは部屋から出て行った。