はまきり
だめだ、わからないことだらけだ。
両親のどちらかが妖怪だなんて思えない。
もしかして俺、手違いでこの学校に来てしまったとか。
考えるのはもう止めよう。
頭がおかしくなりそうだ。
今は情報を集めないと…
とは言ったものの、この広い浜霧高校をどこから探検すればいいのか。
入学のしおりに案内図が載っていた気がする。
持ってこれば良かった。
「野添さん…」
消え入るような小さな声が俺の耳に入った。
声のする方を見ると、中谷さんがこちらに小さく手を振っていた。
「中谷さん…」
「よかった、会えましたね。お礼に案内をしたくて、探していたんです。」
「そうなんだ、ありがとう。」
「あの…どこか探してるんですか?」
「いや、ちょっと校内探検をしようと思ってたんだけど、どこから行けばいいかわかんなくてさ。」
「それなら、私が案内しますよ。一応この学校には3年間通っていたので。」