はまきり




だめだ、わからないことだらけだ。





両親のどちらかが妖怪だなんて思えない。


もしかして俺、手違いでこの学校に来てしまったとか。


考えるのはもう止めよう。


頭がおかしくなりそうだ。


今は情報を集めないと…





とは言ったものの、この広い浜霧高校をどこから探検すればいいのか。


入学のしおりに案内図が載っていた気がする。


持ってこれば良かった。







「野添さん…」






消え入るような小さな声が俺の耳に入った。


声のする方を見ると、中谷さんがこちらに小さく手を振っていた。


「中谷さん…」


「よかった、会えましたね。お礼に案内をしたくて、探していたんです。」


「そうなんだ、ありがとう。」


「あの…どこか探してるんですか?」


「いや、ちょっと校内探検をしようと思ってたんだけど、どこから行けばいいかわかんなくてさ。」


「それなら、私が案内しますよ。一応この学校には3年間通っていたので。」




< 51 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop