はまきり
5分ほど待つと、真っ黒なワゴン車が俺の前に止まった。
ワゴン車の窓は真っ黒で、中の様子は見えない。
よく見ると車体に浜霧高校のエンブレムが描かれている。
これがスクールバスなのだろうか。
俺が疑わしそうにワゴン車を見ていると、ワゴン車のドアが開いた。
真っ暗な車内から、「どうぞ。」と、声がした。
恐る恐る車内に乗り込む。
薄暗い車内には運転手と俺の他に誰も乗っていなかった。
「野添さんですよね?」
運転手が俺に声をかけた。
声の感じからすると、若い女の人のようだ。
「は、はい…。」
「私は浜霧高校のスクールバスの運転手をしています、メイと申します。」
運転手が振り返る。
金髪を後ろで束ねた碧眼の綺麗な女性だった。
「野添桐です。よろしくお願いします。」
車は動き出す。