はまきり




5分ほど待つと、真っ黒なワゴン車が俺の前に止まった。


ワゴン車の窓は真っ黒で、中の様子は見えない。


よく見ると車体に浜霧高校のエンブレムが描かれている。


これがスクールバスなのだろうか。





俺が疑わしそうにワゴン車を見ていると、ワゴン車のドアが開いた。


真っ暗な車内から、「どうぞ。」と、声がした。


恐る恐る車内に乗り込む。


薄暗い車内には運転手と俺の他に誰も乗っていなかった。


「野添さんですよね?」


運転手が俺に声をかけた。


声の感じからすると、若い女の人のようだ。


「は、はい…。」


「私は浜霧高校のスクールバスの運転手をしています、メイと申します。」


運転手が振り返る。


金髪を後ろで束ねた碧眼の綺麗な女性だった。


「野添桐です。よろしくお願いします。」






車は動き出す。



< 6 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop