はまきり
「中谷さんとはどういったお知り合いですか。」
ユキの表情はまるで氷のように冷たかった。
「え…?オリエンテーションのときにたまたま会って…」
「そうですか。」
ユキの表情が元に戻る。
何だったんだ、今のは。
「ユキは、悠と知り合いなのか。」
「知り合いというか、去年同じクラスだったんですよ。」
「そうなんだ。あの、悠ってどんなやつなんだ。」
「なぜそんなこと訊くんですか?」
「いや、特に理由はないけど。」
「彼女は素晴らしく優秀な方ですよ。去年の遠足をたった一人で勝ち抜き、高得点を叩き出し、優勝したんですから。」
「あいつそんなにすごいやつなのか。」
「すごいどころじゃありませんよ。彼女は並の生徒とは比べ物にならないくらいの実力者です。それに珍しい魔界育ちで…」
「魔界育ち?」
「そうです。この学校へ通う生徒のほとんどは、人間界で生活していたけど何らかの事情で人間と暮らせなくなり、ここに通っています。しかし、中には魔界で暮らしていて、そこで暮らせなくなったからここに通う者もいるんです。」