恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
恐怖に屈しかかっている脳を無理矢理動かし、何とか考えた。その間にも、霊達は寄ってきた。昨日私を気絶させた霊のように、濁った黄色い目をギラギラさせながら。
目の前にくれば、暗黒の世界へ連れて行くために捕まえようと、手を伸ばしてきた。
よく見ると悪霊は全部で五体。手は一体につき二本ずつだから、全部で十本。十本の手が、前から右から左から向かってくる。私は恐怖に体がすくみ、微動だにできない。
『私ガ見エルノダロウ、女。ダッタラ、私ヲ助ケテクレ』
『仏様ノトコロヘ、連レテッテクレ!』
『借金取リニ追ワレルノガ嫌デ自殺シタノニ、チットモ楽ニナリャシナイ!魔界ハ暗クテ ツマラナイ。ダカラ、オ前ガ助ケテクレ。ソノ命ヲ、私ニササゲテクレ!』
『ソシテ オ前ハ、私達ト共ニ、モット生命エネルギーノ強イ魂ヲ見ツケ、食ッテ生きキ返レバイイ』
悪霊達は己の欲望や苦しみを口々に叫び、私の髪や腕、足をわしづかもうとした。私はとうとうパニックになり、満足に息さえできなかった。悪霊達を食い入るように見るばかりだった。
―死を覚悟して。―
だが、つかみかかられようとした瞬間、目の前に光のバリアーが出現し、バチバチバチッ!と音をたて悪霊達を捕らえた。
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!』
激しい叫び声が聞こえたとたん、悪霊は全て吹っ飛び空中に消えた。跡形も残っていない。いつもの教室に戻った。
「な、何だ?今の声…」
「ギャァァァァァッ!って聞こえたぞ。まるでホラー映画に出てくる悪霊が叫んでいるみたいだった…」
「き、気持ち悪くねぇ?」
「き、気持ち悪い…」
一瞬シーンとなったかと思うと、教室にいたクラスメイト全員『ワァーッ!』と叫んで椅子から立ち上がり、われ先にと飛び出していった。残ったのは私一人だけだった。
私はヘナヘナとその場に座り込んだ。携帯電話を持っていない方の手で体を触り、心臓が動いているのを確認すれば、ホッとして大きなため息をついた。
「よかった、生きている…」
ふと、変な出っ張りを感じた。昨日の朝、誰かが私にくれたお守りだった。恐怖に耐えるのに必死で、首から提げていたのをすっかり忘れていた。
目の前にくれば、暗黒の世界へ連れて行くために捕まえようと、手を伸ばしてきた。
よく見ると悪霊は全部で五体。手は一体につき二本ずつだから、全部で十本。十本の手が、前から右から左から向かってくる。私は恐怖に体がすくみ、微動だにできない。
『私ガ見エルノダロウ、女。ダッタラ、私ヲ助ケテクレ』
『仏様ノトコロヘ、連レテッテクレ!』
『借金取リニ追ワレルノガ嫌デ自殺シタノニ、チットモ楽ニナリャシナイ!魔界ハ暗クテ ツマラナイ。ダカラ、オ前ガ助ケテクレ。ソノ命ヲ、私ニササゲテクレ!』
『ソシテ オ前ハ、私達ト共ニ、モット生命エネルギーノ強イ魂ヲ見ツケ、食ッテ生きキ返レバイイ』
悪霊達は己の欲望や苦しみを口々に叫び、私の髪や腕、足をわしづかもうとした。私はとうとうパニックになり、満足に息さえできなかった。悪霊達を食い入るように見るばかりだった。
―死を覚悟して。―
だが、つかみかかられようとした瞬間、目の前に光のバリアーが出現し、バチバチバチッ!と音をたて悪霊達を捕らえた。
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!』
激しい叫び声が聞こえたとたん、悪霊は全て吹っ飛び空中に消えた。跡形も残っていない。いつもの教室に戻った。
「な、何だ?今の声…」
「ギャァァァァァッ!って聞こえたぞ。まるでホラー映画に出てくる悪霊が叫んでいるみたいだった…」
「き、気持ち悪くねぇ?」
「き、気持ち悪い…」
一瞬シーンとなったかと思うと、教室にいたクラスメイト全員『ワァーッ!』と叫んで椅子から立ち上がり、われ先にと飛び出していった。残ったのは私一人だけだった。
私はヘナヘナとその場に座り込んだ。携帯電話を持っていない方の手で体を触り、心臓が動いているのを確認すれば、ホッとして大きなため息をついた。
「よかった、生きている…」
ふと、変な出っ張りを感じた。昨日の朝、誰かが私にくれたお守りだった。恐怖に耐えるのに必死で、首から提げていたのをすっかり忘れていた。