恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
―しばらく待っても返事が来なかったので、私からします。今、調子はどうですか?私はこれから宿題します―
―またまた、メールします。返事が来ないって事は、調子がすごく悪いって事ですか?それとも、がんばってバイトしているんですか?それとも…私をさけているんですか?あんなに頻繁にメール交換していたのに、ぱったり来なくなったから、嫌われたんじゃないかと不安です。どんなに短い文でもいいから、返信メール下さい!―
―まだ、くれないんですか?もう午後十一時三十分です。アルバイト、とっくに終わっていますよね。何をしているんですか?早く返事下さい!―
―今、午後十一時三十一分です。もう一分経ちました。まだですか?―
―今、午後十一時三十二分です。さらに一分経ちました。まだですか?―
―今、午後十一時三十三分です。さらに一分経ちました。まだですか?…―
―…今、午前0時です。日付が変わりました。こんなに待っても来ないって事は、朝まで絶対来ませんね。いえ…もうずっと来ないかもしれない。でも、もう少し待ちます。春乃さんが好きだから―
そしてついさっき…電池が切れたのに受信したメールが開いた。
―やっぱり待っても来ませんでしたね。首を長くして待っていたのに…何度も言います。私、春乃さんが好きです。大好きです!とっても話しが合うし、寂しがり屋ってところも一緒だし。このまま終わりになんて、したくありません。絶対したくありません!…だから、決めました。―
「ひっ・・・」
私はメールを読み終えると、携帯電話を床に落としてしまった。ちゃんと持っていようとしたのに、手が激しく震え持っていられなかった。
 最後の一行が心臓に突き刺さり、体の機能がマヒしてしまった。
 森田は私が落とした携帯電話を見ると、取ろうと手を伸ばした。私はガタガタと体を震わせながらも、頭を左右に振った。
「ダメッ!触ると悪霊に取り憑かれる!」


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