恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「ま、まさか…」
「ミチカは、本当に力が強い。そうでなければ、今川さんが道ばたを歩いている低級霊を見たり、寄ってくる事もない。守護霊の力によって守られているからね。つまりミチカは、守護霊の力を弱めるだけの能力を持っていると言う事になる」
「・・・!」
「ミチカが守護霊の力を弱めたのは、春乃さんを魔界へ引っ張り込みやすくするためだ。守護霊の力が強ければ、その力に阻まれてしまうから」
私は頭の中が真っ白になった。今日の昼、森田がくれたお守りで霊を弾けたし、力のある陰陽師に浄霊依頼のメールを送ったから、必ず助かると思っていた。
―なのに、命は風前の灯火だって…―
(考えが甘かった?そんなことないよね。私、一生懸命生きているもの。神様がちゃんと助けてくれるよ!)
私は崩れ落ちそうになるのを、必死でこらえた。
 森田はそんな私を励ますように見つめると、再び手を握った。
「今川さんが相手をしている悪霊は、かなりのツワモノなんだ。陰陽師さえ、このままでは命が危ないと言っている。だから、今すぐ陰陽師の元へ行って、戦いに備えよう。今回は今川さんの経済状況を考えて、浄霊料以外いらないと言ってるし」
「う、うん。そうする」
私はヨロヨロしながら、カウンターのところにいた先輩のそばへ行った。先輩は、心配そうな目で見ていた。私と森田の話が聞こえただろうに、嫌悪感はまったく感じなかった。
「大丈夫?春乃ちゃん。顔、真っ青だよ。店長になら私がうまく言っておいてあげる。仕事の事なら気にしないで。今すぐ行って」
「ありがとう、先輩。じゃ、行ってきます」
「気をつけて。…春乃ちゃんの事、よろしくね」
先輩は森田を見た。森田は『はい』と言ってうなずいた。
 すると突然、森田は激しく身震いしだした。私はすごくドキっとした。危険がすぐそこまで来ている気がした。
「どっ、どうしたの?」
「…来た、来てしまった…」
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