恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(まあ、しょうがないか。出来るだけ人と関わらないよう生きてきたんだから)
そう思いつつも、どんな人なのか気になってしょうがなかった。
すると、その彼女の周りに黒いモヤが立ちこめだした。通行人は誰も気づかない。みんな、普通に通り過ぎていく。
ただ、通り過ぎようとした霊は全て全速力で逃げ出した。彼女を守っている守護霊さえ、逃げ腰だ。明らかに様子がおかしい。
森田は、ピンときた。
(ヤバイ…これはかなりヤバイぞ!)
女子高生を取り囲む黒いモヤは、どんどん濃くなり怪しさを増していく。特に携帯電話の周りの濃度が濃く、ドロドロしている。森田の体の震えもひどくなり、通学鞄を抱きしめるよう体の前で組んだ腕と膝が、ガクガクと震えた。口も、奥歯がガチガチとなり、しめていられない。しかし体は真夏の強い日差しを浴びているかのように、全身汗だくだった。
―黒いモヤがあまりにも危険な冷気を吐き出しているので、冷静でいられなかった。―
「ちょっと、おにいちゃん。大丈夫かい?」
四十代後半くらいの、ショッピングバッグを提げた小太りの女性が、心配そうに声をかけてきた。
「ちょ…ちょっとカゼをひいたみたいで…」
「ひどい汗をかいているね。ほら、私のハンカチをあげる。汗をふきなさい。汗が体を冷やすから、ふかないともっと寒気がするよ」
「ありがとう、ございます」
「家は遠いのかい?携帯電話を持っているから、私が迎えに来てくれるよう家族の人に連絡してあげるよ」
「いえ、一人で帰れま…」
ふいに、彼女の持った携帯電話を基点に、影がユラユラと煙のように立ち上がりだした。人の形になれば、頭上から眺めた。…いや、ニラんでいた。その様は『アラジンと魔法のランプ』に出てくる『ランプの精』のようだった。
(でも、アイツはそんな良い奴じゃない。…悪霊だ!)
女子高生を睨む目はにごった黄色で、悪意に満ちていた。ランプの精のように、ご主人様へ敬意を表す気持ちは微塵も感じられない。女子高生を自分たちの棲む世界へ…暗黒の世界へ連れて行こうと目論んでいる。
そう思いつつも、どんな人なのか気になってしょうがなかった。
すると、その彼女の周りに黒いモヤが立ちこめだした。通行人は誰も気づかない。みんな、普通に通り過ぎていく。
ただ、通り過ぎようとした霊は全て全速力で逃げ出した。彼女を守っている守護霊さえ、逃げ腰だ。明らかに様子がおかしい。
森田は、ピンときた。
(ヤバイ…これはかなりヤバイぞ!)
女子高生を取り囲む黒いモヤは、どんどん濃くなり怪しさを増していく。特に携帯電話の周りの濃度が濃く、ドロドロしている。森田の体の震えもひどくなり、通学鞄を抱きしめるよう体の前で組んだ腕と膝が、ガクガクと震えた。口も、奥歯がガチガチとなり、しめていられない。しかし体は真夏の強い日差しを浴びているかのように、全身汗だくだった。
―黒いモヤがあまりにも危険な冷気を吐き出しているので、冷静でいられなかった。―
「ちょっと、おにいちゃん。大丈夫かい?」
四十代後半くらいの、ショッピングバッグを提げた小太りの女性が、心配そうに声をかけてきた。
「ちょ…ちょっとカゼをひいたみたいで…」
「ひどい汗をかいているね。ほら、私のハンカチをあげる。汗をふきなさい。汗が体を冷やすから、ふかないともっと寒気がするよ」
「ありがとう、ございます」
「家は遠いのかい?携帯電話を持っているから、私が迎えに来てくれるよう家族の人に連絡してあげるよ」
「いえ、一人で帰れま…」
ふいに、彼女の持った携帯電話を基点に、影がユラユラと煙のように立ち上がりだした。人の形になれば、頭上から眺めた。…いや、ニラんでいた。その様は『アラジンと魔法のランプ』に出てくる『ランプの精』のようだった。
(でも、アイツはそんな良い奴じゃない。…悪霊だ!)
女子高生を睨む目はにごった黄色で、悪意に満ちていた。ランプの精のように、ご主人様へ敬意を表す気持ちは微塵も感じられない。女子高生を自分たちの棲む世界へ…暗黒の世界へ連れて行こうと目論んでいる。