恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「大丈夫、そう簡単に襲ってこないよ」
「そんな…もし襲ってきたらどうするのよ。私達誰も陰陽師のように呪文を唱えたり鳥を操ったりできないよ。第一、あの黒い手は、化け物だから包丁なんかじゃ切れないよ」
「…いや、切れるかもしれないぞ。春乃、この店に包丁はあるか?」
「包丁はないけど、カッターならカウンターのところにあるよ。…って、お父さん、何かする気なの?」
父は突然、カウンターへ向かって走り出した。しかしカウンターのところへ行くには、魔界の入り口側を通り、ミチカの横をすり抜けなければならない。だが頼みの陰陽師はミチカと戦っていて、私達を助けることはできない。父の行動は、非常に危険を伴うものだった。
私はたまらず、父の手をつかんだ。
「行っちゃダメ!死んじゃうよ!」
「そうです、お父さん。素人がどうこうできる相手ではありません!」
森田も止めに入った。だが振り返った父は、首を縦に振ろうとしない。
「じゃあ、このまま黙って見ていろって言うのか?また魔界の入り口が現れたんだぞ。放っておいたら、すぐ春乃を捕まえに来るかもしれない」
「陰陽師がいます。彼なら何とかしてくれます!」
「何とかしてくれなかったら、どうするんだ!娘を見殺しにしろって言うのか!」
「でも、お父さんが先にやられるかもしれないよ。そんなのイヤだよ!」
「娘のために死ぬなら本望だ。喜んでこの命くれてやる!」
「父さん!」
父は私の手を振り切ると、全速力で走った。これほど早く走れるものかと思うほど。
しかし案の定、魔界の住人は黒い手をスルスルと伸ばし、捕まえようとした。そのスピードは思いのほか速く、今にも父を捕まえそうだった。
「父さん!逃げて!手が追いかけて来る!」
私は叫びながら、魔界の住人を止めようと走り出した。危険なのは百も承知だが、じっとしていられない。すると目の前に森田が現れ、行く手をさえぎるよう抱きしめた。
「放して、放してっ!」
「ダメだ。今行ったら、今川さんまで捕まってしまう」
「そんな…もし襲ってきたらどうするのよ。私達誰も陰陽師のように呪文を唱えたり鳥を操ったりできないよ。第一、あの黒い手は、化け物だから包丁なんかじゃ切れないよ」
「…いや、切れるかもしれないぞ。春乃、この店に包丁はあるか?」
「包丁はないけど、カッターならカウンターのところにあるよ。…って、お父さん、何かする気なの?」
父は突然、カウンターへ向かって走り出した。しかしカウンターのところへ行くには、魔界の入り口側を通り、ミチカの横をすり抜けなければならない。だが頼みの陰陽師はミチカと戦っていて、私達を助けることはできない。父の行動は、非常に危険を伴うものだった。
私はたまらず、父の手をつかんだ。
「行っちゃダメ!死んじゃうよ!」
「そうです、お父さん。素人がどうこうできる相手ではありません!」
森田も止めに入った。だが振り返った父は、首を縦に振ろうとしない。
「じゃあ、このまま黙って見ていろって言うのか?また魔界の入り口が現れたんだぞ。放っておいたら、すぐ春乃を捕まえに来るかもしれない」
「陰陽師がいます。彼なら何とかしてくれます!」
「何とかしてくれなかったら、どうするんだ!娘を見殺しにしろって言うのか!」
「でも、お父さんが先にやられるかもしれないよ。そんなのイヤだよ!」
「娘のために死ぬなら本望だ。喜んでこの命くれてやる!」
「父さん!」
父は私の手を振り切ると、全速力で走った。これほど早く走れるものかと思うほど。
しかし案の定、魔界の住人は黒い手をスルスルと伸ばし、捕まえようとした。そのスピードは思いのほか速く、今にも父を捕まえそうだった。
「父さん!逃げて!手が追いかけて来る!」
私は叫びながら、魔界の住人を止めようと走り出した。危険なのは百も承知だが、じっとしていられない。すると目の前に森田が現れ、行く手をさえぎるよう抱きしめた。
「放して、放してっ!」
「ダメだ。今行ったら、今川さんまで捕まってしまう」