恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「そう言われて見れば、そうかもしれない。…って、もしかして!」
「何?」
「ミチカをいじめていた奴らかもしれない。ミチカはイジメッ子達を魔界へ引きずり込んだって言っていた。引きずり込んで、手下にしたのかもしれない」
森田が言ったとたん、四人は私達の三メートルほど前で止まり、立ち上がった。全員女の子で背丈や髪型はバラバラだが、予想通りミチカと同じ制服を着ていた。私達を恨めしげにニラむ目も、ミチカと同じく濁った黄色だった。
 そのうちの一人、リーダーと思われる真ん中にいる少女が、ニタリと笑った。
『ミチカガ アンタニ来テ欲シイッテ 言ッテルヨ』
「い、行くわけないでしょ!まだやりたい事がたくさんあるんだから」
『本当ニ ヤルコトアルノ?毎日、携帯電話ヲ イジッテイル ダケジャナイノ』
「・・・!」
『セッカク迎エニ来タンダカラ、行コウヨ』
少女達は体を右へ左へユラユラ揺らしながら、さらに近寄ってきた。
「行かないったら、行かない!」
「そうだ、その少女は行かぬぞ。いや、私が行かせない!」
いつの間にか陰陽師が私達の側にいた。化け物達はいまいましそうに口を歪ませ歩みを止めた。
「何人お前達が束になってかかってこようが、厳しい修行を積んだ私にはかなわない。お前達低俗な霊をねじ伏せる事など、赤子の手をひねるより簡単だ。それでも勝負を挑むと言うのなら、魂を消滅させられるのを覚悟の上でかかって来い!」
『偉ソウニ、青二才ガ!』
『魔界ノ住人ヲ馬鹿ニシタ事、後悔サセテヤル!』
少女達は腕を肩の高さまで上げると、ミチカと同じように手を二十本に分裂させた。さすがに四人全員が手を分裂させると、気持ち悪い上にすごい迫力で、本当に陰陽師一人で戦えるのかどうか心配になった。
『イケェーッ!』
リーダーの少女が叫んだとたん、化け物達は一気に手を伸ばしてきた。四人全員が分裂した手を伸ばしてきたので、ほとんど隙間がなく、まるで黒い布が上から覆い被さってくるようだ。おまけに魔界の住人より攻撃してくるスピードが速い。あっと言う間に周囲は真っ黒に染まった。

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