恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「神や仏は太っ腹だが、己の犯した罪を認めず改心する気のない者は、受け入れてくれぬという事だ」
『クッ…』
「天国は良い所だぞ。苦しみや寂しさ…そんな負の感情はいっさい存在しない。お主の願う、暖かで安らかな日々しか…」
ふいに、陰陽師は印を結んだ。しかしそれよりも早く、黒くて長い手が何本も絡まった。陰陽師は冷静に払いのけようとするが、すごい勢いで、しかも四方八方から絡まった。青い鳥も必死に切るが、追いつかない。みるみるうちに陰陽師はグルグル巻きにされ、蚕のように顔も見えなくなった。
―真っ黒な蚕…異様な光景だ。―
「もしかして…あの四人が目覚めたのか?」
森田が言った。壁の方を見れば、先ほど陰陽師にぶっ飛ばされたイジメッ子集団が、肩を激しく上下させ荒い呼吸を繰り返しながらも、仁王立ちで立っていた。分裂した手は全て陰陽師をグルグル巻きにしていた。
「一対五じゃ、分が悪すぎる!このままじゃ、陰陽師やられちゃうんじゃない?」
「大丈夫、彼は『任せろ』って言った。厳しい修行も積んだと言った。状況は不利かもしれないけど、きっと起死回生の策はある。とにかく彼を信じよう」
「そう…」
私が返事をし終えた瞬間、呪縛の解けたミチカが陰陽師へ向かって、おもいっきり刀を振り下ろした。私達は驚きのあまり、息を止め見た。
彼女の体は霊体でこの世に存在しないもの。さっきまで彼女の体が変化した刀は、恐ろしいけれど、それほど冷たく感じなかった。だが今、陰陽師に振り下ろされた刀は実際に存在するかのように冷ややかな輝きを放ち、背筋まで凍るような残忍さを放っていた。
陰陽師の命が瞬く間に消えるのを、第六感で感じたからかもしれないが…
「陰陽師っ!」
気が付けば、霊体の陰陽師がグルグル巻きにされた自分の体の隣に立っていた。証拠に、彼の体は向こう側が透けて見えた。
彼の表情はひどく狼狽し、映画で見た死刑囚のようにはかなげだった。その隣には、歓喜に満ちた顔のミチカが立ち、勝ち誇った顔で私を見ていた。
『クッ…』
「天国は良い所だぞ。苦しみや寂しさ…そんな負の感情はいっさい存在しない。お主の願う、暖かで安らかな日々しか…」
ふいに、陰陽師は印を結んだ。しかしそれよりも早く、黒くて長い手が何本も絡まった。陰陽師は冷静に払いのけようとするが、すごい勢いで、しかも四方八方から絡まった。青い鳥も必死に切るが、追いつかない。みるみるうちに陰陽師はグルグル巻きにされ、蚕のように顔も見えなくなった。
―真っ黒な蚕…異様な光景だ。―
「もしかして…あの四人が目覚めたのか?」
森田が言った。壁の方を見れば、先ほど陰陽師にぶっ飛ばされたイジメッ子集団が、肩を激しく上下させ荒い呼吸を繰り返しながらも、仁王立ちで立っていた。分裂した手は全て陰陽師をグルグル巻きにしていた。
「一対五じゃ、分が悪すぎる!このままじゃ、陰陽師やられちゃうんじゃない?」
「大丈夫、彼は『任せろ』って言った。厳しい修行も積んだと言った。状況は不利かもしれないけど、きっと起死回生の策はある。とにかく彼を信じよう」
「そう…」
私が返事をし終えた瞬間、呪縛の解けたミチカが陰陽師へ向かって、おもいっきり刀を振り下ろした。私達は驚きのあまり、息を止め見た。
彼女の体は霊体でこの世に存在しないもの。さっきまで彼女の体が変化した刀は、恐ろしいけれど、それほど冷たく感じなかった。だが今、陰陽師に振り下ろされた刀は実際に存在するかのように冷ややかな輝きを放ち、背筋まで凍るような残忍さを放っていた。
陰陽師の命が瞬く間に消えるのを、第六感で感じたからかもしれないが…
「陰陽師っ!」
気が付けば、霊体の陰陽師がグルグル巻きにされた自分の体の隣に立っていた。証拠に、彼の体は向こう側が透けて見えた。
彼の表情はひどく狼狽し、映画で見た死刑囚のようにはかなげだった。その隣には、歓喜に満ちた顔のミチカが立ち、勝ち誇った顔で私を見ていた。