恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(…いや、一つだけ方法はある。それに賭けるしかない!)
私は目を開けると、ミチカをキリリと見た。ミチカは私を見ると、ニヤリと笑った。
「お願いがあるの」
『オ願イ?ドンナ?モノニ ヨッテハ 聞ケナイヨ』
「三人を助けて欲しいの」
「春乃、何を言っているんだ!」
「そうよ、この化け物は全員魔界へ引きずり込むと言っているのよ!」
『三人モ助ケル タメニハ、ソレ相当ノ 交換物ガ必要ダ。春乃サンハ ソンナ凄イ物、持ッテイルノ?』
ミチカはニヤニヤ笑っている。いやらしい顔つきだ。しかし私はひるまず真正面でミチカを見すえると、フーッと息を吐き出した。
「あなたが熱望している、私の魂をあげるわ」
「春乃、馬鹿な事を言うな!」
父はノドが張り裂けんばかりに叫んだ。しかし、私の考えは揺るがない。
「ミチカ、あなたは私に魔界へ来て欲しいんでしょ?だったら、私だけ連れて行けばいい。ほかの三人を連れて行く事はない。それに、今日は七人も魔界へ落としたんだもの。あんまり張り切って魂を落としたらすぐいっぱいになって、棲むのが窮屈になってしまうわ」
『ソレモ ソウダ』
「それにこの世の中には、自分が楽しい思いをするために、人を泣かせたり苦しませてばかりいる、とんでもなく悪い奴らが大勢いる。奴らには暗くてジメジメしたところが似合う。どうせなら、そう言う奴らを魔界へ落とせばいい。ここにいる平凡なオジサンやオバサン、キモくてくらい高校生なんか、相手にしたってつまんないわよ」
『春乃サント 悪者退治カ。何カ楽シソウ』
「でしょ?さ、早く私の魂を抜いて。私、グズグズしている人、嫌いなの」
私は促すよう、ミチカを真正面から見た。早くしてくれないと恐怖に決心が鈍ってしまいそうで、モタモタして欲しくなかった。
 しかし父と母、森田は、強烈な驚きと悲しみがない混ぜになった顔で私を見ていた。
「春乃。待て、思いとどまるんだ。お前一人を死なすわけにはいかない!」
「親より先に死ぬなんて、親不孝だと思わないの!」
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