恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「もしかして…ミチカの知っている人かな?」
「あの様子なら、たぶんそうだね。…って、大丈夫?」
「うん、大丈夫。それより、お父さんはリリコって人の事しらないみたいだよ。なんでお父さんの携帯電話にメールを送ってきたのかな?どこでメールアドレスを知ったのかな?」
「わからない…」
ミチカは眉間にシワを寄せ、父を見た。
『リリコハ…リリコハ ドンナ メールを 送って来たんだ?』
「今、見てみるよ」
父は急いでメールを開き、二通とも目を通した。読み終わった父の顔は、とても困惑していた。
『何テ…何テ書イテ アルンダ!』
「ミチカさん。私だけ助かって、ごめんなさい」
『・・・!』
その場にいた全員、大きく目を見開き、お互いの顔を見合わせた。
「今、二通とも読むよ」
父は再び携帯電話の液晶ディスプレイを見た。
「『ミチカさんへ。…私だけ助かって、ごめんなさい。私も本当は死ぬつもりでした。イジメられるのは、もうイヤだから。死んだら二度とイジメられなくなるでしょ。考えただけで、幸せな気持ちになります』」
父は続けて二通目を開いた。
「『でももう、この世にミチカさんはいないんだよね。謝りたくても謝れないんだよね』
二通目を読み終えた時、三通目が届いた。
「『ミチカさん、ミチカさんを追い払おうと、霊能者を呼んだ父と母を許して下さい。二人とも私が自殺しようとしてから異常に心配するようになって、ちょっとでも変わった事があると過敏に反応するんです。代わりに私が謝ります。ゴメンなさい』」
さらに四通目が届いた。
「『これが最後のメールです。ミチカさん、天国で幸せに暮らせるよう、心から祈っています。生きていた頃さんざん苦しんだんだから、私がうらやましくなるくらい、幸せになって下さい。私はミチカさんの分まで一生懸命生きます。それじゃ、さようなら』」
父は読み終えると顔を上げ、ミチカを見た。父は『どうしていいか、わからない』と言う表情をしていた。いや私も、森田も母も同じだった。
 
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