恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
三百人以上の命を魔界へ落とし、厳しい修行を積んだ陰陽師の魂を一瞬で消し去ったのに、徒党を組んだ仲間の攻撃を退ける事はできなかった。一人一人は非力でも、束になってかかってこられると、さしものミチカも勝てなかったのだ。
「そんな…リリコへメールを送ったのに…」
そして私は現実を受け入れられないでいた。最後の頼みの綱だった計画がつぶれ、再びミチカに脅されるかもしれない日々を思うと、目の前が真っ暗になった。
「春乃、早く逃げよう。ここにいたら本当に化け物に捕まってしまうぞ!」
「今川さん、僕につかまって。さ、行くよ!」
森田は呆然として動けずにいる私の左脇を抱えると、ガラスがすべて砕け散った窓の方へ向かって足早に歩き出した。窓は枠しか残っていないので、わざわざ危険な魔界の入り口そばにある出入り口に行かなくても逃げられるのだ。
しかし、いつの間にかそこには多くの野次馬がいて、今にも店内へ飛び込んできそうだった。今、イジメッ子達や魔界の住人は、成仏することへ集中し天国から差し込む光の下に静かにいて、彼らに気づかない。だが、ふとした拍子に店内へ飛び込んできたら、気づかれて魂を抜き取られるかもしれない。殺されてしまうかもしれない。
(止めなくちゃ、止めなくちゃ…)
だが思いとは裏腹に気力が沸かず、森田に引っ張られるまま通り過ぎようとした。ミチカが魔界へ落ちた事は、それほどショックだった。
イジメッ子達や魔界の住人は、ミチカが魔界へ落ち反撃してこないのを良い事に、天国からの光が降り注ぐ場所へ笑顔で駆け込んだ。イジメッ子達は光を浴びれば二十本にも分裂した手をいっせいに掲げ、眩しさに目を細めながらもニヤけた。数分送れて、魔界の住人も手を伸ばす。穴から伸びた住人の手は、まるで火災現場で消火活動をしている消防車のホースのように、長く床の上を這った。色が黒いので不気味きわまりない。
遠くから見ていた私達は、ひどく腹が立った。しかし何もできず、悔しさを噛みしめその場を立ち去ろうとした。
『私ヲ天国ヘ連レテ行ッテ下サイ!』
『コレマデシタ事ヲ反省シマスカラ、連レテ行ッテ下サイ!』
『モウ二度ト悪イ事ハ シマセン!』
「そんな…リリコへメールを送ったのに…」
そして私は現実を受け入れられないでいた。最後の頼みの綱だった計画がつぶれ、再びミチカに脅されるかもしれない日々を思うと、目の前が真っ暗になった。
「春乃、早く逃げよう。ここにいたら本当に化け物に捕まってしまうぞ!」
「今川さん、僕につかまって。さ、行くよ!」
森田は呆然として動けずにいる私の左脇を抱えると、ガラスがすべて砕け散った窓の方へ向かって足早に歩き出した。窓は枠しか残っていないので、わざわざ危険な魔界の入り口そばにある出入り口に行かなくても逃げられるのだ。
しかし、いつの間にかそこには多くの野次馬がいて、今にも店内へ飛び込んできそうだった。今、イジメッ子達や魔界の住人は、成仏することへ集中し天国から差し込む光の下に静かにいて、彼らに気づかない。だが、ふとした拍子に店内へ飛び込んできたら、気づかれて魂を抜き取られるかもしれない。殺されてしまうかもしれない。
(止めなくちゃ、止めなくちゃ…)
だが思いとは裏腹に気力が沸かず、森田に引っ張られるまま通り過ぎようとした。ミチカが魔界へ落ちた事は、それほどショックだった。
イジメッ子達や魔界の住人は、ミチカが魔界へ落ち反撃してこないのを良い事に、天国からの光が降り注ぐ場所へ笑顔で駆け込んだ。イジメッ子達は光を浴びれば二十本にも分裂した手をいっせいに掲げ、眩しさに目を細めながらもニヤけた。数分送れて、魔界の住人も手を伸ばす。穴から伸びた住人の手は、まるで火災現場で消火活動をしている消防車のホースのように、長く床の上を這った。色が黒いので不気味きわまりない。
遠くから見ていた私達は、ひどく腹が立った。しかし何もできず、悔しさを噛みしめその場を立ち去ろうとした。
『私ヲ天国ヘ連レテ行ッテ下サイ!』
『コレマデシタ事ヲ反省シマスカラ、連レテ行ッテ下サイ!』
『モウ二度ト悪イ事ハ シマセン!』