恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「借り?」
『リリコニ メールヲ シテクレタ。励マシノ返事、モラッテクレタ』
「リリコから来たメール読んだの、ちゃんと聞こえていたんだね」
『アンナ大キナ声デ読ンダラ、絶対聞コエルヨ!…デモ オ陰デ、成仏シヨウトスルノヲ足止メスル奴ラヲ、振リ払ウコトガ デキタ。ココヘ戻ッテ来ラレタ。リリコノ励マシハ、私ノパワーノ源ダカラ』
ふいに天井から光が差し込んできて、ミチカの上に降り注いだ。さきほどまで降り注いでいた場所は、普通の天井に戻っていた。天国自らミチカを成仏させるため、やって来たのだろう。
 ミチカは一度天井を見上げ、そして私達を見た。
『ヨウヤク成仏デキソウダ。ココニ辿リ着クマデ、長イ道ノリ ダッタ』
「よかったね。これでもう、苦しまなくてすむね」
するとミチカは否定するよう、首を左右に振った。
『ソレハ、ワカラナイ。私ハ三百人以上ノ魂ヲ魔界ヘ落トシタ。モシカスルト、厳シイ罰ヲ受ケル事ニナルカモシレナイ。…ソレデモ、モシ少シデモ神ガ許シ、天国へ行カセテクレルト言ウノナラ、ゼヒ 行キタイ』
「そうだね。行けるといいね」
『ドッチニシテモ…コレデ春乃サントハ、オ別レ。色々、アリガトウ』
「うん」
『ソシテ…』
ミチカは深々と頭を下げた。
『色々苦シメテ、ゴメンナサイ』
「うん。本当に苦しかった。…でも、私もワガママな事したから、あいこだよ」
『ありがとう』
ミチカの姿は時間を追うごと、どんどん薄くなっていく。先に成仏していったイジメッ子達のように、背後にある壁の模様がはっきりと見えてくる。
『ヨカッタラ、リリコニ メールヲシテ下サイ。「励マシノ メール アリガトウ」ッテ』
「わかった、しておく」
『春乃サンニ、会エテ ヨカッタ』
「そう」
『ジャア、ネ』
「うん」
『サヨナラ』
「さよなら…」
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