恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
店長は最後まで『ああ』しか言わなかった。『お店、こんな風にしちゃって、すいません』の言葉は、『お前が犯人だったのか!何て事しやがった!』と怒鳴られるのを覚悟して言ったので拍子抜けした。だが、改めて店長が激しいショックを受けているのを知り、本当に申し訳なくなった。
事務所を出ると、警官が私達を囲むよう両脇に立ち、店の前に止めた車へ向かって移動した。逃げ出さないように見張るためだ。
店舗へ入ると、まだ現場検証が続いていた。みな先ほどと同じく黙々と作業をこなし、私達をチラリとだけ見た。連行していく警官には、『お願いします』とだけ言った。なんだか素っ気ない気がした。
しかし目の中に亡くなった人の姿が飛び込んでくると、そんな些細な事はどうでもよくなった。亡くなった人は皆、恐怖に目を見開き横たわっている。一滴も血が流れていなくともドキッとし、胸がズキズキと痛んだ。私はたまらず目をそらした。そして、なぜ現場検証をしている警官や鑑識の人が無口なのか、わかった。
亡くなった人が可愛そうで、楽しく会話できないのだ。
申し訳なくて泣きそうになるのをガマンし、店を出ると、いつの間にか分厚い人垣ができていた。野次馬によってできた人垣だ。私達は警官に守られながらパトカーへ乗り込む事となったのだが、立ち入り禁止と書かれた黄色いテープをくぐると、ものすごい勢いで野次馬達が押し寄せてきて、つぶされそうになった。そして、あちらこちらで光るフラッシュが眩しくて目がつぶれるかと思った。カシャカシャ言うシャッター音には、腹が立った。
野次馬達は携帯電話で写真を撮っていたのだ。スゴク嬉しそうな顔で。私達が今どんなに大変かなど全く考えていない。事件を目撃できて、『ブログのネタができた』とか、『友達に話す話題ができた』くらいにしか思っていない。
たぶん、店内の様子も撮ったに違いない。今の携帯電話は高性能だから、かなり遠い距離の物もちゃんと撮影できる。遺体なのに、ちゃんとわかるように撮影できるかもしれない。
彼らを見ていたら、怒りが悪寒に変わった。背筋を冷たい物が走った。
事務所を出ると、警官が私達を囲むよう両脇に立ち、店の前に止めた車へ向かって移動した。逃げ出さないように見張るためだ。
店舗へ入ると、まだ現場検証が続いていた。みな先ほどと同じく黙々と作業をこなし、私達をチラリとだけ見た。連行していく警官には、『お願いします』とだけ言った。なんだか素っ気ない気がした。
しかし目の中に亡くなった人の姿が飛び込んでくると、そんな些細な事はどうでもよくなった。亡くなった人は皆、恐怖に目を見開き横たわっている。一滴も血が流れていなくともドキッとし、胸がズキズキと痛んだ。私はたまらず目をそらした。そして、なぜ現場検証をしている警官や鑑識の人が無口なのか、わかった。
亡くなった人が可愛そうで、楽しく会話できないのだ。
申し訳なくて泣きそうになるのをガマンし、店を出ると、いつの間にか分厚い人垣ができていた。野次馬によってできた人垣だ。私達は警官に守られながらパトカーへ乗り込む事となったのだが、立ち入り禁止と書かれた黄色いテープをくぐると、ものすごい勢いで野次馬達が押し寄せてきて、つぶされそうになった。そして、あちらこちらで光るフラッシュが眩しくて目がつぶれるかと思った。カシャカシャ言うシャッター音には、腹が立った。
野次馬達は携帯電話で写真を撮っていたのだ。スゴク嬉しそうな顔で。私達が今どんなに大変かなど全く考えていない。事件を目撃できて、『ブログのネタができた』とか、『友達に話す話題ができた』くらいにしか思っていない。
たぶん、店内の様子も撮ったに違いない。今の携帯電話は高性能だから、かなり遠い距離の物もちゃんと撮影できる。遺体なのに、ちゃんとわかるように撮影できるかもしれない。
彼らを見ていたら、怒りが悪寒に変わった。背筋を冷たい物が走った。