恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「行く?どこへ?」
森田は恥ずかしそうに笑って、ポリポリと頭をかいた。
「実は…とある陰陽師に弟子入りすることにしたんだ。今日遅刻したのは、そのお願いをしに行ったからなんだ」
「じゃ、歯医者には行っていないの?」
「ああ、虫歯は一本もないよ。先月直したばかりだし」
「遅刻するための口実だったってわけだ」
「ま、そう言うこと」
「でも、何で弟子入りしようと思ったの?」
「うん。今朝アイロンをかけようと今川さんのハンカチを見ていたら、昨日の夜の事が鮮明に蘇ってさ。そうしたら、今まで通りのうのうと生きてはいけない気がしたんだ」
「なるほど…で、いつから弟子入りするの?」
「今日から。…って言っても、学校はちゃんと通うよ。空いている時間を修行に当てるんだ。僕、部活動していないし塾も通っていないから、けっこう空いている時間あるんだ。その時間を使って、人の役に立てるよう力を磨きたいと思ったんだ」
「そう、か。うん、とても良いと思う」
「今回、今川さんが側で苦しんでいるのを見て、すごくショックだった。自分も同じように苦しんでいるけど、客観視することはなかったし、ごく親しい人が霊障にあったりもしていなかった。だから、持っている力を磨こうと思っても、実際にやろうとしなかった。修行は苦しくて辛いから」
私はうんうんとうなずいた。
「でも、同じ学校の今川さんが苦しんでいるのを見て、何もできない自分が悔しかった。腹正しかった。こんなに悔しい思いをしたのは、初めてだった」
「…ごめんね、巻き込んでしまって。陰陽師が来るのがもう少し遅かったら、森田君まで魔界へ落ちていたかもしれない」
「そう言ってもらえると、嬉しいよ」
「ねえ…もしかして、陰陽師に『来て下さい』ってお願いしてくれたのは、森田君?」
「うん。陰陽師に浄霊の依頼メールを送っただろ。その返信が家へ帰ったら届いていたんだけど、内容が『かなり力のある悪霊だと思われる。早急に対応しなければ、憑依されている人は命が危ないだろう』って書いてあってさ。慌てて『交通費なども払いますので、足を運んで下さい』って、シスタードーナツの住所を書いてメール送ったんだ」
森田は恥ずかしそうに笑って、ポリポリと頭をかいた。
「実は…とある陰陽師に弟子入りすることにしたんだ。今日遅刻したのは、そのお願いをしに行ったからなんだ」
「じゃ、歯医者には行っていないの?」
「ああ、虫歯は一本もないよ。先月直したばかりだし」
「遅刻するための口実だったってわけだ」
「ま、そう言うこと」
「でも、何で弟子入りしようと思ったの?」
「うん。今朝アイロンをかけようと今川さんのハンカチを見ていたら、昨日の夜の事が鮮明に蘇ってさ。そうしたら、今まで通りのうのうと生きてはいけない気がしたんだ」
「なるほど…で、いつから弟子入りするの?」
「今日から。…って言っても、学校はちゃんと通うよ。空いている時間を修行に当てるんだ。僕、部活動していないし塾も通っていないから、けっこう空いている時間あるんだ。その時間を使って、人の役に立てるよう力を磨きたいと思ったんだ」
「そう、か。うん、とても良いと思う」
「今回、今川さんが側で苦しんでいるのを見て、すごくショックだった。自分も同じように苦しんでいるけど、客観視することはなかったし、ごく親しい人が霊障にあったりもしていなかった。だから、持っている力を磨こうと思っても、実際にやろうとしなかった。修行は苦しくて辛いから」
私はうんうんとうなずいた。
「でも、同じ学校の今川さんが苦しんでいるのを見て、何もできない自分が悔しかった。腹正しかった。こんなに悔しい思いをしたのは、初めてだった」
「…ごめんね、巻き込んでしまって。陰陽師が来るのがもう少し遅かったら、森田君まで魔界へ落ちていたかもしれない」
「そう言ってもらえると、嬉しいよ」
「ねえ…もしかして、陰陽師に『来て下さい』ってお願いしてくれたのは、森田君?」
「うん。陰陽師に浄霊の依頼メールを送っただろ。その返信が家へ帰ったら届いていたんだけど、内容が『かなり力のある悪霊だと思われる。早急に対応しなければ、憑依されている人は命が危ないだろう』って書いてあってさ。慌てて『交通費なども払いますので、足を運んで下さい』って、シスタードーナツの住所を書いてメール送ったんだ」