恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「そうだったんだ。ありがとう」
「気にしなくていいよ。メール送るなんて、たいしたことじゃないから」
「・・・!」
『メール』と聞いて、あることを思い出した。
「ねえ。そう言えば、なんでクズミ リリコは、お父さんの携帯電話にミチカ当てのメールを送って来たのかな?」
「そう言えば、そうだ。いくらあの場所にいて携帯電話を持っているからって、送ってこないよな。お父さんはクズミ リリコを知らないって言っていたし」
「もしかして、お父さんはリリコを知らないけど、リリコはお父さんを知っているのかもしれない」
「それもなくはないな」
「でも、どうやってリリコはお父さんのメールアドレスを知ったんだろ」
「実はリリコは取引先の娘で、ある日お父さんを見かけて一目惚れしたとか?」
「うちのお父さん、女子高生に一目惚れしてもらえるような、イケてる外見していないでしょ。普通の中年オヤジだもの…わかった!誰かが勝手にお父さんのメールアドレスを教えたんだ!」
「いや、それも違うかも」
「は?」
「リリコから最初に届いたメールの内容は、自殺して自分だけ助かったことと、悪霊になったミチカを、両親が霊能者を呼んで追い払った事を謝っていた。それはミチカが自殺して間もなくの頃に起きたことだ。ミチカが三百人以上の魂を魔界へ引きずり込んだことから推測して、半年以上前に打ったメールなのは間違いない」
「半年以上?」
「それも、ミチカの携帯電話へ向けて」
「でも、ミチカは死んだから携帯電話は解約されて、もう無いんじゃない?メール送れないんじゃないの?」
「たぶん。リリコは送れないメールを、ずっと携帯電話に保存していたんだと思う。どうしてもミチカに謝りたくて」
「じゃあ、何でそれがお父さんの携帯電話に送られてきたのかな?」
「神様の仕業かも」
「神様?」
「そう、神様」
「なぜ?」 
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