恐怖へいざなうメールはいかが～from.ミチカ

新しい未来へ

　その後、警察へは二、三日間隔で呼び出され、事細かに事情聴取を受けた。事情聴取には私や森田、父、母の他に、店長や一緒に働いている従業員、アルバイトにパートのおばちゃんも呼び出された。亡くなった七人の殺害に関わっている人間がいないかどうか調べるためだ。ただこの時も、事件当日の夜のように特に嫌な思いもせず、すべてが音便に、スムーズに進んだ。
　また、事情聴取を受けている間に、亡くなった七人の司法解剖が行われた。その結果、死因は全員心臓発作だとわかり、私達が疑われる確率は格段に減った。
（まあ、口から魂を抜かれて魔界へ引きずり込まれたり、魂を頭から真っ二つに切られて亡くなったんだから、外も中も傷は無いよね）
もちろん警察には、ミチカやイジメッ子達、陰陽師について全て話した。しかし実際に証拠が無いだけに、すべて夢物語として受け取られ、まったく信じてもらえなかった。それどころか、私は凶悪犯に襲われ極度の恐怖を受けたために頭がおかしくなったと思われた。森田や父、母共々。
　また、学校に噂が広まることも全く無かった。バイトをしているシスタードーナツは扱っている商品の価格が安いと言う事もあり、学校の生徒が大勢利用していた。私を知っている生徒も大勢いる。だから、私の悪い噂が流れる確率はとても高そうだったが、少しも無く、おかげでイジメに遭う事も無かった。
（先生達が必死に情報を漏れないようにしてくれているのかな？いや、それは無理だよね。お店を利用するのは、うちの学校の生徒以外にも大勢いる。先生だって、暇じゃない。だとすると、他の誰かが助けてくれたのかな？うーん、わかんないなぁ…）
登校してきて一時間目の授業中、私は授業もそこそこに、アゴに手をあて考えた。
　どうしてもふに落ちないのには、理由がある。私は全てスムーズにいったのに、店長はひどい目に遭ったからだ。
　事件の夜、私と森田、父、母が警察へ行って間もなく、テレビ局がわんさか取材にやって来た。テレビ局自ら騒ぎを嗅ぎつけたのか、野次馬の一人が通報したのか、全国ネットのニュース番組まで駆けつけ、考えていた以上に大騒ぎになった。局によっては、その夜のニュースで生放送するところもあり、店の数十メートル圏内には、たくさんのアナウンサーとカメラが陣取った。