恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
ずっと気になっていた事だけに、心がすっとした。私は善は急げとばかりに、アルバイト情報誌を買おうと近くのコンビニエンスストアへ向かった。
 その十分後、前髪を切って凛々しくなった森田が正面玄関から出てくると、バス停へ向かった。私が立ち寄ったコンビニエンスストアの前を通り過ぎて。だが、店内にいる私には気づかなかった。森田は前ばかり見ていたし、私はアルバイト情報誌に熱心に目を通し下を向いていたので、わからなかったのだろう。
 森田は家路とは反対の街中へ向かうバスに乗り、電車の駅前で降りた。そして駅で切符を買うと、とある方向へ向かう普通電車へ乗り込んだ。
 陰陽師のいる街へ向かう電車だ。
 森田の顔はまっすぐ前を向き、これまでにないほどヤル気に満ちていた。暗い雰囲気はほとんど無い。キラキラと光っているようにさえ見える。
 私達は、それぞれの未来へ向かって歩き出した。その未来は自分のためであり、他の誰かが幸せになるための未来。簡単にはゴールへ辿り着けない長い道のりだから、きっと沢山嫌な思いをするだろう。辛い思いもするだろう。涙を沢山流すだろう。
 でも、幸せになりたい、みんな幸せになって欲しいと言う思いがあれば、必ず笑える瞬間がやって来るはず。その思いを信じて生きるのは、けっして悪い事じゃない。
 『求めよ、さらば与えられん』。幸せに満ちた未来を心に鮮やかに描きながら、私達は新たなスタートを切った。

                                    完
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