恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(助けて…助けて神様っ!)
本日二度目の神頼み。そろそろ神様も嫌気がさしている頃だろう。
(でも、神様しか頼れる人がいません!母は、私なんてどうでもいいと思っているんです!自分の理想を押しつけようとばかりします。私の意見なんて、少しも聞いてくれません!自分の意見が正しいと思っているから。おまけに味方の父は忙しくて、頼りにできません。メル友も、こんなに遅いと誰も助けに来られないと思うんです。ほら、神様だけが頼りなんです!誰も助けてくれない、可哀想な私を、ぜひ助けて下さい!)
しかし案の定、神様は嫌だったようで、私の視界から黒い影を消してはくれなかった。
 その夜は恐怖のあまり、フラフラになって家へ着いた。
 周りは暗いので、見ないで歩く事は出来ずひたすら走って来たのだが、黒い影はあっちにもこっちにもいて、いつまでたっても消えなかった。ずっといた。今にも襲ってきそうで、生きた心地がしなかった。ミチカから『大丈夫、気にしていません』と、お許しのメールをもらいホッとしても、心の底から解放されなかった。
 今にも、不気味な出来事が起こりそうな気がした。
 ミチカに『おやすみ』のメールを送ると、何も食べずにベッドへ入り、頭から布団をかぶって目をきつくつぶった。家の中に黒い影はいなかったが、すぐにでも現れそうな気がし、豆電球さえついていないリビングに入る事ができなかった。
 布団を頭からかぶっているので体は一ミリも外に出ていないのに、体の震えはいつまでたっても止まらなかった。ずっとずっと、風邪をひいて高熱を出して苦しんでいる人のようにガタガタガタガタ震えていた。
 ずっとずっと、震え続けた。眠ったのは明け方だった。
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