恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
憂鬱な朝
 翌朝、午前七時。私は重い体を何とか起こし、身支度を整えた。昨晩の一件でほとんど眠れず、すっかり寝不足だった。
(あ~頭が重い。学校、行きたくない。色々めんどうくさい…)
とりあえずメールをチェックし、みんなに『おはよう』と言ってもらったが、気分は沈んだまま。テンションが上がらない。携帯電話の電池が切れかかっていたので充電しながらシャワーを浴びたが、スッキリしない。頭はボーッとしたままだった。
 茶の間にある食卓に座ると、目玉焼きやレタスが乗った朝食のプレートをボーッと眺めた。皿にはラップがかかっていて、食べ物はすでに冷たかった。父や母は食べ終わっていて、バタバタと身支度をしたり家事をこなしていた。
「春乃、早くご飯食べなさい。学校に遅刻するでしょ!」
「うん…」
「学校ぐらい、ちゃんと行きなさいよ。塾行っていないし、ロクに勉強もしていないんだから、今度こそ留年するわよ」
母は嫌味ったらしく言うと、洗濯物が沢山入ったカゴを持ってベランダへ行った。今日は天気がいいので、外の物干し竿に干すつもりらしい。
 元気な母を見ていたら、急に悲しくなった。
(『元気がないみたいね、大丈夫?』とか、少しくらい心配してくれてもいいのに…)
悲しみを吐き出さずにいたら、食欲が失せた。パンを焼くのもめんどうだったので食べるのをやめ、牛乳を一口飲んだ。
(あれ?)
飲み込む時、喉に引っかかるような違和感を感じた。
(カゼでも引いたかな?)
しかし独特のピリピリするような痛みはない。もう一口飲んでみると、飲み込む時に引っかかるような感じだけした。
(疲れているのかな?昨日怖い思いして、ちゃんと眠れなかったから)
そう思うと不安はいっきに吹っ飛び、たいしたことがないように思えた。
 牛乳を飲み終えると皿を冷蔵庫へしまい、牛乳を飲んだガラスのコップを洗った。洗い終わると、洗った食器を入れているカゴにしまった。
「ちょっと、食べないの?せっかく作ったのに!」
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