恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
 母の嫌味を背中で受け流し時計と見ると、まだ午前七時二十分だった。しかし、学生カバンに携帯電話と充電器を放り込み家を出た。午前八時に家を出ても十分授業に間に合うが、これ以上嫌味を言われるのが嫌で、外で時間をつぶす事にした。
 ただ、外に出る時勇気がいった。またあの黒い影が見えるかもしれないと思うと、怖かった。
 見慣れた通学路がいつものように眩しい初夏の日差しを受け、清々しい空気の中にたたずんでいるのを確認すると、やっとホッとした。
(あの黒い影は一つも見えない。よかった…昨日は疲れていたから、きっと幻を見たのかもしれない)
ようやく深呼吸すると、ウキウキして携帯電話を取り出した。時間が沢山あるので、メールを打ちながら学校へ向かう事にした。昨晩はミチカから来た分のみ見て返信し、あとは放っときぱなしだった。とりあえず、そっちを片づける事にした。ミチカには『おはよう、今日もよろしく』と打ったものを送った。
 返信は、しばらく来なかった。少しイライラしたが、黒い影が見えない事が嬉しくて、待ってみようと言う気になった。
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