恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「今川さん、どうしたんですか?こんなに震えて。どこか痛いんですか?具合の悪いところがあるんですか?」
お医者さんは優しく問いかけてくれた。しかし私はひどい震えのため、首を横に振るので精一杯だった。
ナガタはそれをニタニタ笑いながら見た。そして、これまで会った霊達のように側へ寄ってきて、私の顔を指さした。
『クックックッ、イイ顔ダ。モット恐ガレ、モット苦シメ!恐怖ニ歪ンダ顔、タマンエェナァ。犯シタクナルゼ!』
私はさらに震え上がった。今にも死にそうなほど全身が大きくガタガタと震え、父だけでなくお医者さんや看護士さんも焦った。
とたん、ナガタは顔を歪ませた。私が持った携帯電話を見れば『チッ』と舌打ちした。つられるよう、私も見た。
「・・・!」
携帯電話は黒くドロドロしたモヤに取り巻かれていた。モヤは、邪悪な空気を発していた。
『ワ、ワカッテイルッテ!コイツニ手ハ出サネェヨ!早々二去ルカラ、ソウ怒ルナッテ!』
ナガタは『アブネェ、アブネェ』と呟くと、どっかへ去っていった。ひどく慌てているように見えた。おそらく携帯電話に取り憑いている霊に、にらまれたに違いない。ナガタはその霊より格下で、口答えできないのだろう。
私はようやく危機から逃れ、大きく息を吐き出した。震えも少し収まった。
(危機一髪だった)
すると、ふいに昨日会ったキモ暗い青年の言葉を思い出した。
―その携帯電話、悪霊が憑いている。使い続けたら、君の命が危ない!―
(アイツの言っていた事、本当だったんだ…)
キモ暗い彼に対し、怒った事を申し訳なく思った。
私は改めて携帯電話を見た。携帯電話は、いまだ黒いモヤに包まれている。そのモヤは襲ってこないが、時を追うごと濃さを増していた。
よく見れば、私の腕や腰のあたりにも絡んでいた。だが、誰も気づかない。父や看護士の女性、医者も落ち着きを取り戻し、平然と作業をこなしている。
―モヤが見えているのは、私だけ。…あの世に通じている人だけ…―
私は携帯電話をボトリ、とベッドの上に落とした。命の次に大事にしている物なのに…
お医者さんは優しく問いかけてくれた。しかし私はひどい震えのため、首を横に振るので精一杯だった。
ナガタはそれをニタニタ笑いながら見た。そして、これまで会った霊達のように側へ寄ってきて、私の顔を指さした。
『クックックッ、イイ顔ダ。モット恐ガレ、モット苦シメ!恐怖ニ歪ンダ顔、タマンエェナァ。犯シタクナルゼ!』
私はさらに震え上がった。今にも死にそうなほど全身が大きくガタガタと震え、父だけでなくお医者さんや看護士さんも焦った。
とたん、ナガタは顔を歪ませた。私が持った携帯電話を見れば『チッ』と舌打ちした。つられるよう、私も見た。
「・・・!」
携帯電話は黒くドロドロしたモヤに取り巻かれていた。モヤは、邪悪な空気を発していた。
『ワ、ワカッテイルッテ!コイツニ手ハ出サネェヨ!早々二去ルカラ、ソウ怒ルナッテ!』
ナガタは『アブネェ、アブネェ』と呟くと、どっかへ去っていった。ひどく慌てているように見えた。おそらく携帯電話に取り憑いている霊に、にらまれたに違いない。ナガタはその霊より格下で、口答えできないのだろう。
私はようやく危機から逃れ、大きく息を吐き出した。震えも少し収まった。
(危機一髪だった)
すると、ふいに昨日会ったキモ暗い青年の言葉を思い出した。
―その携帯電話、悪霊が憑いている。使い続けたら、君の命が危ない!―
(アイツの言っていた事、本当だったんだ…)
キモ暗い彼に対し、怒った事を申し訳なく思った。
私は改めて携帯電話を見た。携帯電話は、いまだ黒いモヤに包まれている。そのモヤは襲ってこないが、時を追うごと濃さを増していた。
よく見れば、私の腕や腰のあたりにも絡んでいた。だが、誰も気づかない。父や看護士の女性、医者も落ち着きを取り戻し、平然と作業をこなしている。
―モヤが見えているのは、私だけ。…あの世に通じている人だけ…―
私は携帯電話をボトリ、とベッドの上に落とした。命の次に大事にしている物なのに…