恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
しかし電話の着信メロディーは止まらない。大好きなアーティストの最新曲を丸々一曲ダウンロードし、着信メロディーとして使っているのだが、すでに1コーラス目が終わり2コーラス目に突入していた。ずいぶんと長く出るのを待っている。
(よほど電話に出て欲しいのね…そんなに伝えたい用件って、何?)
だんだん恐怖に代わり興味が沸いてきた。曲もアップテンポなサビの部分に入り、気分が良くなってきた。私は目の前のテーブルに置いた鞄をじっと見つめた。
(よし、誰からかかってきたものか確かめてみよう。それで嫌なヤツだったら無視しよう。いくらなんでも、十分も二十分も待っていないでしょ)
意を決すると起きあがり、鞄を開け携帯電話を手に取った。すると、二つ折りになている本体の下部にある小さなサブティスプレイには、よく知っていてホッとする名前が点滅していた。
「カオリだ!」
電話をかけてきたのは、中学時代通っていた塾で出来たメル友『奥田 カオリ』。彼女は、通っている学校以外で出来た初めてのメル友で、恐怖に脅えていたのも忘れ、ウキウキして出た。
「もしもし?」
『ハルちゃん?ゴメンね、こんな遅い時間に電話して』
彼女は私の事を『ハルちゃん』と呼ぶ。その方が呼びやすいらしい。おかげで彼女と一緒に他の友達が遊ぶと、みんな私をハルちゃんと呼ぶようになった。ちょっとテレくさくて、でもちょっと嬉しかった。
「ううん、大丈夫だよ」
『よかった!…ねぇ、今何しているの?もう寝ようとか思っていなかった?』
「ちょっとね」
『ごめん!じゃ、また明日、朝にでも電話するよ』
「いいよ、気にしないで。私も香と話したかったし。…で、用件って何?」
『あのね、メールの返信がぜんぜん来ないからさ。何かあったのかと思って』
「…ご、ゴメン!ちょっとバイトが忙しくて…」
私はドキッとし、語尾を濁した。よもや悪霊に取り憑かれて携帯電話がちゃんと動かない、なんて言えない。香は優しい子だから、すごく心配をさせてしまうに違いない。
(よほど電話に出て欲しいのね…そんなに伝えたい用件って、何?)
だんだん恐怖に代わり興味が沸いてきた。曲もアップテンポなサビの部分に入り、気分が良くなってきた。私は目の前のテーブルに置いた鞄をじっと見つめた。
(よし、誰からかかってきたものか確かめてみよう。それで嫌なヤツだったら無視しよう。いくらなんでも、十分も二十分も待っていないでしょ)
意を決すると起きあがり、鞄を開け携帯電話を手に取った。すると、二つ折りになている本体の下部にある小さなサブティスプレイには、よく知っていてホッとする名前が点滅していた。
「カオリだ!」
電話をかけてきたのは、中学時代通っていた塾で出来たメル友『奥田 カオリ』。彼女は、通っている学校以外で出来た初めてのメル友で、恐怖に脅えていたのも忘れ、ウキウキして出た。
「もしもし?」
『ハルちゃん?ゴメンね、こんな遅い時間に電話して』
彼女は私の事を『ハルちゃん』と呼ぶ。その方が呼びやすいらしい。おかげで彼女と一緒に他の友達が遊ぶと、みんな私をハルちゃんと呼ぶようになった。ちょっとテレくさくて、でもちょっと嬉しかった。
「ううん、大丈夫だよ」
『よかった!…ねぇ、今何しているの?もう寝ようとか思っていなかった?』
「ちょっとね」
『ごめん!じゃ、また明日、朝にでも電話するよ』
「いいよ、気にしないで。私も香と話したかったし。…で、用件って何?」
『あのね、メールの返信がぜんぜん来ないからさ。何かあったのかと思って』
「…ご、ゴメン!ちょっとバイトが忙しくて…」
私はドキッとし、語尾を濁した。よもや悪霊に取り憑かれて携帯電話がちゃんと動かない、なんて言えない。香は優しい子だから、すごく心配をさせてしまうに違いない。