恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
「…何、これ?」
玄関で外靴から上履きに履き替えようとしたところ、下駄箱の壁に立てかけるよう置いてある小さな紙袋を見つけた。紙袋は手のひらに乗る大きさで、よく見れば包装紙で包んであるだけだった。
(もしかして…私のファン?)
ふと思いつき嬉しくなった。中身が何なのかすごく知りたくなった。でも誰かにちゃかされるのは嫌で、一番近くにあるトイレへ駆け込んだ。
ここ三日間というもの、嫌な事ばかり起きていた。小さな物でもプレゼントされるのは嬉しかった。
出来るだけ音を立てないよう包みを開けると、中から出てきたのは赤いフェルト地を白い糸で縫って作ったお守りだった。縫い目は雑で裁縫初心者なのはすぐわかったが、長くて細い白色の紐もついていて、首から提げられるようにした気遣いは感心した。同封されている、ノートを切って作ったと思われるメモ用紙には、『霊から身を守ってくれます。ダマされたと思ってつけてみてください』と書かれてあった。ただ、送り主の名前は無かった。
(霊から身を守ってくれます、か)
しばらくの間、食い入るようにお守りを見ていた。手の中にすっぽり収まってしまうほど小さなお守り。これにそんな力があるとは思えなかった。
(でも、少しでも悪霊から守ってくれるのなら、身につけない手はない!)
私は一人うなずくと、首からかけワイシャツの中にしまった。お守りはちょうど、心臓の上に来た。まるで命を守るかのように。
(誰がくれたのか知らないけれど、ありがとう。…これで少しは時間が稼げそうだよ)
ワイシャツの上からお守りを握りしめ目をつぶると、プレゼントしてくれた相手へ向かって心の中でつぶやいた。
以前の私なら絶対しない行動。それほど追いつめられていた。
玄関で外靴から上履きに履き替えようとしたところ、下駄箱の壁に立てかけるよう置いてある小さな紙袋を見つけた。紙袋は手のひらに乗る大きさで、よく見れば包装紙で包んであるだけだった。
(もしかして…私のファン?)
ふと思いつき嬉しくなった。中身が何なのかすごく知りたくなった。でも誰かにちゃかされるのは嫌で、一番近くにあるトイレへ駆け込んだ。
ここ三日間というもの、嫌な事ばかり起きていた。小さな物でもプレゼントされるのは嬉しかった。
出来るだけ音を立てないよう包みを開けると、中から出てきたのは赤いフェルト地を白い糸で縫って作ったお守りだった。縫い目は雑で裁縫初心者なのはすぐわかったが、長くて細い白色の紐もついていて、首から提げられるようにした気遣いは感心した。同封されている、ノートを切って作ったと思われるメモ用紙には、『霊から身を守ってくれます。ダマされたと思ってつけてみてください』と書かれてあった。ただ、送り主の名前は無かった。
(霊から身を守ってくれます、か)
しばらくの間、食い入るようにお守りを見ていた。手の中にすっぽり収まってしまうほど小さなお守り。これにそんな力があるとは思えなかった。
(でも、少しでも悪霊から守ってくれるのなら、身につけない手はない!)
私は一人うなずくと、首からかけワイシャツの中にしまった。お守りはちょうど、心臓の上に来た。まるで命を守るかのように。
(誰がくれたのか知らないけれど、ありがとう。…これで少しは時間が稼げそうだよ)
ワイシャツの上からお守りを握りしめ目をつぶると、プレゼントしてくれた相手へ向かって心の中でつぶやいた。
以前の私なら絶対しない行動。それほど追いつめられていた。