恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(クリーニングはいつ取りに行くかな?予定、ビッチリだよなぁ。そうだ、バイトの休憩時間に取りに行こう。クリーニング屋は、バイト先と道路を挟んで向かいにある。よーし、このプランで決まりだ!)
プランが決まったので、善は急げとばかりに銭湯へ向かって早足に歩き出した。一緒に入るのは見知らぬ人ばかりだが、一人じゃない。寂しくない。たっぷりの湯船につかっている場面を想像すれば気持ちよさそうで、幸せな気分になった。再びやる気も出てきた。
 銭湯は、学校から歩いて十分くらいの場所にある。私は早足で来たので、八分で着いた。バス停もすぐ側にあるので、街中へのアクセスはバッチリだ。
 昔懐かしいのれんをくぐり建物の中へ入ると、休憩場所におじいちゃんやおばあちゃん、子供連れのお母さんが何人かいた。学校からさほど離れていないが、生徒らしき男子や女子は誰もいない。
(まあ、普通は家で入るから、当然といえば当然か)
私はちょっぴり寂しい思いをしつつも、受付でお金を払いバスタオルとタオルを借りると、赤ワイン色で『姫』と書かれた女湯ののれんをくぐり、中へ入った。
 脱衣所は二十畳ほどの広さがあり、掃除が行き届いてキレイだった。天井からすぐの場所にある、横長の形をした明かり取りの窓から差し込む光はまだ眩しくて、蛍光灯の明かりがなくても問題なく行動できるほどだった。
 着ている物を全て脱ぎ、グレー色のロッカーへ放り込み鍵をかけると、鍵が着いたリストバンドを腕に止めた。化粧ポーチにいれてあったピンク色のゴムで髪をしばり、タオルで前を隠せば、急ぎ足で浴室へ入った。リストバンドは、鍵を無くさないようにするために肌身離さず持ち歩くためだ。鍵をかけずにいけば、お金だけじゃなく金目の物は全部盗まれてしまうので。
 ちなみに、この銭湯に来るのは初めて。銭湯に来る事自体久々なので、とても新鮮な気分だった。
 湯船は全部で四つあった。四十二度の高めの湯温、四十度前後の適度な湯温、日替わりの湯、水風呂のバリエーションだ。この他にサウナと打たせ湯があり、意外と楽しめそうな作りだった。
(クリーニングはいつ取りに行くかな?予定、ビッチリだよなぁ。そうだ、バイトの休憩時間に取りに行こう。クリーニング屋は、バイト先と道路を挟んで向かいにある。よーし、このプランで決まりだ!)
< 51 / 202 >

この作品をシェア

pagetop