恐怖へいざなうメールはいかが～from.ミチカ

（クリーニングはいつ取りに行くかな？予定、ビッチリだよなぁ。そうだ、バイトの休憩時間に取りに行こう。クリーニング屋は、バイト先と道路を挟んで向かいにある。よーし、このプランで決まりだ！）
（平日の昼間って、こんなもんなんだろうな。でも、ゆったりノンビリ入れるなんて、なんかお金持ちになった気分。たまにはいいかも。また来るかな）
いつもならこの時間は、メル友とメール交換をしまくっている『メールざんまいタイム』だ。あっちこっちの学校にいるメル友とメール交換するので、本当に楽しいし色んな情報が聞ける。もちろん良い事ばかりじゃない、背筋がゾクッとするような嫌な情報もある。
（親は『社会人みたいに責任を持って働いていないし、問題が起きても責任取らなくていいんだから、気楽なもんじゃない。第一、自分の事で忙しいんでしょ。大人と一緒にしないで』みたいな事を言うけど。高校生だって色々あるし、色々忙しいんだよね。大人が言うとおり勉強してマジメにがんばっても、つつがない日々を送れる人間なんて多くない。みんな何かしら問題を抱えている。それが常識の基準にあっているかいないかで、『大変ね』って言われたり『今時の子って、本当に進んでいるわよね。ふしだらって言うか淫らって言うか。私達が同い年の時は、もっと自分を大切にしたものよねぇ』って嫌味を言われる。そんな風になるつもりがなかったとしてもさ）
湯船の端に寄りかかり、天井を見上げて思う。理解してもらえない悔しさが心の中で渦巻いた。
　ただ、もうもうと立ちこめる湯煙に負けず、天井にある明かり取りの窓から、太陽の光がさんさんと降り注いでくる。その光を見ていると、体だけじゃなく心の傷まで癒された。
（あぁー、ずっとこうしていたい。お湯の温かさと差し込む光を見ていると、マジ癒されるー。嫌な事も、みんな忘れちゃえそうだぁー）
目をつぶり雰囲気を堪能する。
（極楽だぁ～）
しかし、ふと目を開け時計を見て焦った。考えていた以上に時間が経っていた。
（堪能しすぎたっ！このままじゃ、携帯電話の機種変更できないよ。それ、すっごい困る！）