恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
私は怪しまれないよう気をつけて、チラチラと休憩所の中を見た。休憩所には六十代くらいの白髪頭のおじいちゃん一人と、五十代後半のおじさんが一人いた。二人とも相撲の生中継に夢中だが、紙をビリビリ破く音にはすぐ反応しそうな気がした。
(あー、このまま知らないふりしてなんて置いていけない。もうこの号、売っていないんだもん。ぜっっっっっったい欲しい。欲しいよっ!)
今にもビリッと破いてダッシュで逃げたい欲望と戦いながら、私は必死に作戦を考える。この銭湯を気に入ったから、できるだけニラまれるような事をしたくなかった。
(そうだ、インターネットを使って出版社のホームページにアクセスして、在庫状況を調べるって言う手もある。でもなぁ、今すぐ携帯電話を使えないんだよな。機種変更するのだって、けっこう時間かかるし。その間に在庫を処分されるかもしれない。なくなっちゃうかもしれない!もうこの鴻上学には会えないんだよ。二度と会えないんだよ。やだよっ!)
私は熱い気持ちに負けて、持った部分が折れないよう気をつけた。そうでもしなければ、手がブルブル震えているので、バキッと大きく深く折り目をつけ、鴻上学に傷をつけそうだった。
(…やるっきゃない。恥を忍んで、このページを破くしかない!)
意を決し、ページの閉じ際上部を持つ。しかし心臓は異常なほどドクッドクッと鼓動した。黒い影に襲われそうになった時くらい、激しく鼓動した。
(い、いくわよっ!)
と思った瞬間、誰かが激しくクシャミした。
「へ、ヘックション!」
とたん私はビックリし、雑誌を『ビリビリッ』と音をたて破いてしまった。五センチも破いてしまった。
室内はシーンと静まりかえった。相撲を中継するアナウンサーの声がとても大きく聞こえる。そして、おじさん二人の刺さるような視線を痛いほど浴びているのがわかった。
(しまった…見つかってしまったっ!)
私はひどく狼狽し、しかし雑誌を戻せばもっと怪しまれると思い、カモフラージュのために違うページを開いた。するとおじさん二人は再び相撲中継を見に戻ったようで、衣擦れや椅子のきしむ音が聞こえた。確認のため振り返ってみれば、予想通り二人はテレビを見ていた。
(あー、このまま知らないふりしてなんて置いていけない。もうこの号、売っていないんだもん。ぜっっっっっったい欲しい。欲しいよっ!)
今にもビリッと破いてダッシュで逃げたい欲望と戦いながら、私は必死に作戦を考える。この銭湯を気に入ったから、できるだけニラまれるような事をしたくなかった。
(そうだ、インターネットを使って出版社のホームページにアクセスして、在庫状況を調べるって言う手もある。でもなぁ、今すぐ携帯電話を使えないんだよな。機種変更するのだって、けっこう時間かかるし。その間に在庫を処分されるかもしれない。なくなっちゃうかもしれない!もうこの鴻上学には会えないんだよ。二度と会えないんだよ。やだよっ!)
私は熱い気持ちに負けて、持った部分が折れないよう気をつけた。そうでもしなければ、手がブルブル震えているので、バキッと大きく深く折り目をつけ、鴻上学に傷をつけそうだった。
(…やるっきゃない。恥を忍んで、このページを破くしかない!)
意を決し、ページの閉じ際上部を持つ。しかし心臓は異常なほどドクッドクッと鼓動した。黒い影に襲われそうになった時くらい、激しく鼓動した。
(い、いくわよっ!)
と思った瞬間、誰かが激しくクシャミした。
「へ、ヘックション!」
とたん私はビックリし、雑誌を『ビリビリッ』と音をたて破いてしまった。五センチも破いてしまった。
室内はシーンと静まりかえった。相撲を中継するアナウンサーの声がとても大きく聞こえる。そして、おじさん二人の刺さるような視線を痛いほど浴びているのがわかった。
(しまった…見つかってしまったっ!)
私はひどく狼狽し、しかし雑誌を戻せばもっと怪しまれると思い、カモフラージュのために違うページを開いた。するとおじさん二人は再び相撲中継を見に戻ったようで、衣擦れや椅子のきしむ音が聞こえた。確認のため振り返ってみれば、予想通り二人はテレビを見ていた。