恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(助かったぁーっ!)
私はそっと息を吐き出した。ホッとすると、ドッと疲れが襲ってきた。たった一瞬のできごとだったが、生きた心地がしなかった。
(しょうがない、今回は鴻上学をあきらめるか…いや機種変更をした後、出版社の方へ在庫の状況を確認してみよう。もしかしたら、まだあるかもしれない!とにかく今は、もう一度彼の姿を見て目に焼き付けておこう。それしかない!)
私は違うページを開いていたのを忘れ、そのまま見た。
「え・・?」
私は書かれた記事のタイトルにドキッとし、そのまま硬直した。信じられない、いや信じたくない内容だった。
 見開きの右ページ上に書かれていたのは、『携帯電話を片手に亡くなる女子高生続出』と言うタイトルだった。
(何、これ…)
どんな記事が書かれているのかものすごく気になり、カモフラージュのため開いていたのも忘れ、隅から隅まで読んだ。一字一句漏らさないよう、目を皿のようにして読んだ。読み終わると、私はショックのあまりボーッと目の前の壁を見つめた。
 週刊誌には、次のような事が書かれていた。
―○月○日、午前五時半頃。早朝マラソンを日課にしている五十代の女性が○○公園を通りかかったところ、女子高生がベンチの前で倒れているのを発見した。女子高生はすでに死亡しており、発見者である五十代の女性が警察に通報した。
 亡くなった女子高生を司法解剖したところ、死因は心臓発作だった。ただ首には絞められた形跡があり、何者かに殺されそうになった恐怖を受け、ショックで亡くなったのではないかと警察は推測している。つまり、『他殺』ではない。ただ警察は腑に落ちない点があり、引き続き捜査をする事にした。
 その理由の一つに、五十代の女性がこの女子高生を発見した時、手に携帯電話がしっかりと握られていた、という報告があったからだ。亡くなってなお、しっかりと握っている姿に、強い違和感を覚えたらしい。
 そこで警察は、さらに死亡した原因を探るべく、女子高生の持っていた携帯電話に登録された電話帳や送受信していたメールから、交友関係を探った。すると、ある女子高生の名前が挙がった。
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