恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
(しょうがない。新しいメル友でも探すか…)
やむなく新たなメル友探しをする事にした。今回の一件で親しいメル友が使えない時もあるとわかったので、そう言う時のために新たな関係を気づいておこうと思ったのだ。
 『メル友募集』で検索すると、たくさんのサイトがヒットした。ヒットした順に開けば、目を皿のようにしてメッセージを読んだ。
 すると、あるメッセージが目にとまった。
―十六歳、高校一年生。すごく寂しがりやの女の子です。毎日、沢山メール交換できる人を希望します。  ミチカ―
『すごく寂しがりや』の部分にとても興味をひかれた。私も寂しがりや。彼女は自分と同じ痛みを持っているのだと思うと、親近感が沸いた。
 私はすぐさまメールを打つと、メッセージの下に表示してあったアドレスへ、ドキドキして送信した。
―私は今川春乃。十七歳で高校二年生の女の子。ミチカさんより一つ年上で、同じ寂しがりや。沢山、メール交換しよう!返事、すっごく待っています!―
(すぐ返事来るといいな。今、五時十一分か。…塾に通っていたら、講義中かもしれない。だとしたら、メール見ている暇ないかな…授業中じゃなきゃいいな。塾、通っていなきゃいいな。そうしたら、すぐ返事もらえるから!)
待ち受け画面の端に表示されている時計を見た。きっと良い返事が返ってくると思いつつも、待ち遠しさのあまり食い入るように見てしまう。時間と分の間にあるコロンの点滅さえ、遅く感じた。
(あっ、一分経った!でも、まだ来ない。…塾、通っているのかな?今、講義中なのかな?絶対、私と話し合うのに…ねえ、すぐ返信メールくれないなら、他の人探しちゃうよ。いいの?)
だんだんイライラしてきた。期待感のあまり、他人を思いやれなくなっていた。
(ねえ、まだ?本当に他の人探しちゃうよ。いいの?ミチカと私、絶対気が合うよ。なのにいいの?後悔しない?)
頭をかきむしりたくなるほど、イライラした。
 とたん、メールを着信した。受信トレイを開けばタイトルに『はじめまして、ミチカです』と書いてあった。急いでメールを開けば、心臓をバクバクさせながら食い入るように読んだ。
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