恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
力一杯振り下ろしたので、跳ね返る衝撃も大きい。私は衝撃に耐えられず椅子を手放すと、後ろへよろけた。そのまま一人がけ用のソファーに背中からぶつかった。
「いったーっ!」
痛みに耐えるよう、体を捻り背中をさする。そして、椅子が何にぶつかったのか確かめようと携帯電話を見た。
「・・・?」
しかし、携帯電話はただ床に置かれているだけで、攻撃を阻むようなものは何もなかった。恐る恐る手を伸ばし触って見れば、特に変わった様子はなかった。
(目をつぶっていたから、違うところを叩いちゃったかな?…しょうがない、今度は目を開けて叩いてみるか)
ぶつけた背中をさすりながら立ち上がると、もう一度椅子を持ち上へ振り上げた。目標を定めれば目をつぶらないよう気をつけながら、思いっきり振り下ろした。一息でしとめるつもりだった。
 ところがあと五センチというところで黒い光が携帯電話を包み、椅子の攻撃を弾いた。私は再び痺れるような衝撃を受け、たまらず椅子を放り投げた。背中もソファーへぶつけた。
「いっっっったぁーっ!」
今度は背中の全部を強打し、激痛が走った。一度目よりさらに力を入れて叩こうとしたからかもしれない。私はあまりの痛さに床をのたうち回った。
 痛みが治まると、床に転がったまま携帯電話を見つめた。携帯電話は何事もなかったかのように静かにたたずんでいる。ついさっき包んだ黒い光は一ミリも見えない。
 二度も攻撃を弾かれた私は何とも言えない恐怖を抱きつつも、歯が立たない事にムカつき携帯電話をニラんだ。
(やってくれるじゃない!)
私は黒い光に負けたりせず、もう一度反撃することにした。何としても一矢報いたかった。
 床をはって近付くと、携帯電話をわしずかんだ。起きて開けば両端を持ち、反り返るように開いて真っ二つにおろうとした。
 とたん、黒い雷が携帯電話を取り囲むよう光だし、私の体をビリビリと流れる電流が包んだ。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーッ!」
< 87 / 202 >

この作品をシェア

pagetop