恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
森田は幾度となく抱いた疑問を今朝も思い、しかし同じ答えにたどり着き落ち着いた。
 父がいっこうに起きてくる気配がなのでヒマになり、目の前にあるテレビをつけた。すると朝の情報番組がやっていて、午前七時を回るとニュースを放送し始めた。ただ今日も昨日に引き続き、よくないニュースばかりだった。
(みんなが知っておいた方が良いことだけど、見るとテンションが下がるな。僕は芸能人にあまり興味がないけど、このさい誰でもいいから『結婚した』とか『無事、第一子出産』とか、メデタイ話題を報道してほしいな。そうしたら、少しは幸せな気分になるかもしれない)
森田は心の中でつぶやきながら、ご飯を食べた。いや、口に食べ物が沢山入っているので、しゃべれなかった。
 飲み込み終えた頃、やっと父が起きてきた。森田の左横に座ればチラリと顔を見て『おはよう』と言った。声は明らかに眠そうで、息は酒臭かった。どうやら昨晩は飲み過ぎたらしい。
 森田は眉間にシワを寄せると、チラリと父を見てやむなく『おはよう』と言った。やっと話し相手が来たのだが、酒臭い息をかぎたくないのでできるだけ話したくなかった。
 そんな時、テレビに気になるニュースのタイトルが出た。『謎の死を遂げる女子高生が続出』と言うタイトルだった。
(謎の、死?)
森田はドキッとし、嫌な予感に襲われた。ヒドイ胸騒ぎがする。
 一番最近事件が起きたのは、今日の午前六時過ぎ。早朝に散歩することを日課にしている夫婦が○○川の堤防を歩いていたところ、女子高生が倒れているのを発見した。夫婦は急いで警察に通報し、救急車が駆けつけてくれたが、女子高生はすでに死亡していた。女子高生は首を絞められた跡があり、手の側には携帯電話が落ちていた。
 森田はテレビ画面を通しても見えてしまった。現場検証のために未だ発見現場に置かれている遺体を覆うシートの周りを、黒いモヤが取り巻いているのを…
 (もしかしたら、『アイツ』のせいかもしれない)
第六感がピンときた。九十パーセントの確率で『そうだ』と思う。
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