恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
―死亡した女子高生は約一週間前から、黒い影や黒いモヤのかかった人が見えると友人達に何度も言っていた。また『【とある人】とメールをやりとりするようになってから、変な事が起こりだしたの。受信したメールは【とある人】から受信した分以外開かないし、たぶん黒い影や黒いモヤのかかった人は幽霊だと思うから、そういうのを祓ってくれる霊能者の事を調べようと検索機能を使ったら、動かなくなるの。でも、好きな歌手とかの情報を調べてたら、ちゃんと動くの。何回やっても同じなの!おかしいでしょ?だからね、携帯電話のショップへ持って行って調べてもらったの。なのに、どこも以上ありませんって言われた。メールもね、ちゃんと開いたの。ショップの店員さん、変な目で私を見ていた。私の言ったこと、信じてくれなかったの…』と、脅えながら話していた。しかし周囲の人間は、『あの子は寂しがり屋だから、かまって欲しくて注目を集めるような事を言っているの』と彼女の言ったことを信じていなかった。―
森田は記事を読み終えると、ガタガタと震えながらも何度もうなずいた。この女子高生が死亡した原因は【とある人】と黒い影、黒いモヤのかかった人にあると気付いたから。
 しばらくの間、目の前にある壁をボーッと見つめた。予想がほぼ的中し、かつ自分では助けられないことを知り、ショックだった。今、春乃の状況がどうなっているのかわからなかったが、これだけ事実を突きつけられると否定出来なかった。
(今川さんは、このニュースを見ているかな?見ていたら、少しは僕の話を聞いてくれるかもしれない。携帯電話を捨てる気になるかもしれない…)
森田は春乃が家出をし、さらなる恐怖にさらされているなど夢にも思っていなかった。 事態は猛スピードで最悪の事態へ向かいつつあった。
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