恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ
凛々しい私
 目が覚めると、全身激痛に襲われた。
「うぅっ…っ、ぃだだだだだだだだだっ!」
うつぶせのまま床に寝ていたのが原因らしい。体を少し動かしただけで、首も肩も背中も腰も痛い。あまりの痛さに大変な病に冒されたのではないかと心配になった。
 しかし十分間ほどおとなしくしていたところ、痛みはかなり治まった。ゆっくり体を起こし恐る恐る首を回したりノビをしても、さきほどのような激痛に襲われることはなかった。
(よかった。単に変な格好で寝ていたからなっただけみたい)
思わず安堵のため息をついた。
 だが携帯電話の事を思い出しハッとしてあたりを見回した。どこにもない。昨晩、携帯電話を真っ二つに折って壊そうとしたら、黒い雷が携帯電話を取り囲むよう現れ、私の全身を貫いた。その衝撃に耐えられず失神し、手に持っていた携帯電話を落としたはず。
(あれ?ないなぁ。もしかして、どこかへ吹っ飛ばしたかなぁ)
床を張って探すが、携帯電話はどこにも見つからない。ソファーの上や応接セットのテーブル、店長の机やファイルの置いてある棚も調べたが、やはり見つからない。
(もしかして足が生えて、自分でどこかへ行っちゃったかなぁ?それ、困るなー。手に取った人が悪霊に取り憑かれちゃうよ。がんばって探さなきゃ!)
もう一度同じところを、くまなく探す。しかし、見つからない。あまりにも見つからないので、ゴミ箱の中身までひっくり返してあさった。
 だが、やはり見つからない。さすがに焦ってきた。
(どこにもなぃーっ!)
そして疲れた。疲れたので、ソファーの上に横になった。ただでさえ昨晩の一件で疲れているのに、とどめを刺された気分だった。
(あー、どうしよう。本当にどうしよう。もう見つける自信がなくなってきた。あきらめようかな)
店長の机の後ろに掛けられた時計を見れば、午前七時を過ぎたばかり。登校するまでまだ一時間はある。一時間あれば、余裕でもう一度部屋の中を調べられる。
(ダメだよな、あきらめちゃ。せめてもう一回は探さないと、被害者が増えたら『やっておけばよかった!』って後悔するはず。なんとかがんばらないと!)

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