マンガみたいな事が起きました。
あまりにもムカッときたこの前方にある光景に、あたしはこの軍団を追い越すことに決定した。
どうせ、大雅はさつきと鹿3匹とゆっくり散歩中だし?
裕貴くんに限っては渉の前の前ぐらいを一人で鹿せんべい食べながら走行中だし?
いつもなら寄ってくる女子も、
鹿が嫌なのか鹿せんべいを持ってる男子には近づかない。
よし、気持ちは全然乗らないけど
裕貴くんの所に行こうかな。
鹿せんべい食べながらなのに、
鹿寄ってきそうにないし?
追い越そうと早足に渉たちの横を歩いていた時だった。
鹿が横からやってきたのだ!!
「せんせ、こわぃぃ~♡」
「嫌だぁぁ♡」
ここぞとばかり甘い声を出してる女子たち。
あたしはいきなり自分の隣から鹿が来たので、怖じ気づいて動けない。
やばい、ぶつかる!!
「え……」
身体を優しく何かに包まれた。
その瞬間、
地が轟くような女子たちの叫び声がした。
胸の下、いつも家であたしを抱き締める時に回っている腕。
それが、今、回っていたから。