ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「着きました」
扉を開けてもらい、給仕の人たちに囲まれながら食事をする。
最初は慣れなかったけど、あまりのごはんの美味しさにそれは気にならなくなった。
味や食材は、私の世界とあまり変わらない。
これから長くここで生活するようになるのだから、食事は大切だとゆのは思っていた。
食事が終わると、オルフェがサッとゆのの前に移動してくる。
「ダンス室にお連れいたします」
オルフェの紺色の髪を見ながらゆのは思う。
オルフェのような髪なら私に近いような気もするし、染められたりしないのかな・・・?
オルフェは無口だから、長い廊下を歩いているとますます長く感じる。
「ねぇ、オルフェ。私の髪、あなたと色が似ていると思うんだけど、染められないのかな?」
「ここでは髪を染める方法がありません」
「・・・そうなんだ」
会話が途切れてしまう。
「えっと・・・。ダンスは誰が教えてくれるの?」
まさかレヴァノンではないよね? 男性だし。
「カナリア様にお願いしたと伺いました」
「カナリア様?」
「着きました」
詳しいことを聞こうと思ったのに、着いてしまったようだ。