ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「ユノ様。病み上がりのときに大変申し訳ないのですが、質問とお話があります」
「・・・うん」
「テト様が、ユノ様を召喚したのはクレア王妃様だとおっしゃったというのは、本当ですか?」
「うん、本当。テトの側近のツバルさんが盗聴したんだって。クレア王妃と・・・たしか、アルフォード大臣、だったかな?」
「ツバル殿が? なるほど・・・」
ツバル殿が盗聴というのは本当だろうか・・・? クレア王妃様が盗聴に気付かないなんてこと、ありえるのだろうか?
しかし、アルフォード大臣とクレア王妃様の組み合わせは変ではない。あの二人は昔から変に仲が良かった。
「その盗聴の情報は、クレア王妃様がユノ様を召喚したこと以外に何かありますか?」
ーーーある。
元の世界に帰るには、私の時計が必要だってこと。
でも、言いたくない。
ーーー元の世界に帰りたくない・・・
「ユノ様?」
呼びかけられて、ハッとなる。
「あんまり詳しく教えてくれなかったからよくわかんないの」
そう答えるのが精一杯だった。