ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

怒りで、ぜーはーぜーはー言っている自分に少しの恥ずかしさを感じながら、ツバルを睨んだ。


「これはこれは、カルディア・キッシュ嬢ではございませんか」


あくまでも、努めて、冷静に。


「あんた気付いてたのに、無視したでしょ!」

「すみません。なんのことやら、さっぱり」


ツバルの様子を見てこのままでは埒があかないと感じたらしく、カルディアは切り出した。


「あんたの名前は知らないけど、テト様の従者だってことはわかるわ。気に食わないけど、あんたと同盟を結びたいの」


茶色の瞳が細まり、訝しげにカルディアを見つめていた。


「・・・私はツバルと申します。失礼ながら、同盟とはなんのことやらわかりませんし、私はそんなに暇ではないのですよ」

「ふーん。ツバルって言うの。私知ってるのよ」

「・・・何をです?」

「あんたがテト様の従者やってる理由」


その言葉を聞いた途端、ツバルの顔色が一瞬変わった。


「・・・テト様のことを尊敬していますから」

「そうでしょうね。尊敬・・・というより、感謝とかじゃないの?」

「もちろん、使えさせていただけることに感謝しております」

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