ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

☆慟哭の歌


「お城の散策、いかがでしたか?」


ゆのが部屋に帰ると、ミーシャが出迎えてくれた。


「綺麗なお城だなって改めて思ったよ」


実際は時計を探していたから、そんなありふれたことしか言えない。


「あ、そういえば、ユノ様! 今日ハジ殿がお城に来るそうですよ!」

「え! 本当?」

「はい。仕事が一段落ついたそうです」


これでこの間のお礼が言える。よかった。


「ユノ様がお会いしたがってると思って、レヴァノン殿に頼んでおきました!」

「ミーシャ、ありがとう」


ミーシャがレヴァノンに頼んでくれたおかげで、ハジはゆのの部屋に寄ってくれるようだ。


「ねぇ、ミーシャ。なにかお礼がしたいんだけど、何がいいかな?」


そうですねぇ、と言ってミーシャが悩み出す。


「あまりご一緒にいるところは見たことないのですが、ハジ殿とオズヴェルド様は気心が知れた中のようです。オズヴェルド様は比較的わかりやすい性格だと思うのですが、ハジ殿はなんかこう、掴めなくて・・・」

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